―――上野監督のダークホースも同じく順天堂ですか？

上野：いや僕は明治大ですね。

瀬古：明治も強いよ。

上野：メンバーは明治も強いです。手嶋杏丞選手とか、堅実派の選手たちがいるので、ちゃんとタイムどおり繋いでいけば、上位争いに入ってくる可能性がある。

瀬古：あ、あるね！３～５番くらいに入ってくるね。

上野：そうですね。僕は２～６番くらいに入ってくるんじゃないかな？と。本当は「ダークホースは、母校の中央大」って言いたいんですけど、中大には敢えて少し厳しい評価で（笑）。でも頑張って欲しいんですよ。でもまだ熟していない気がするので、今年はシード権に残って、来年に期待したい。
  瀬古：中大は吉居大和選手が２区を走らないといけないね。

上野：吉居選手が１区の時点でブレーキしたら以降で挽回できる選手はいないので終わってしまう。あとひとつ気になるのは、１年生の阿部陽樹選手が５区の上りに入っているんですよ。阿部選手は平地で速いのに上りに起用ってことは、よっぽど上れるんですよ。だからそこで流れを変えられるのでは？とちょっと期待しています。

瀬古：中大は今年優勝するのは厳しいかもしれないけど、１～２年先を狙って、１年生に山上りをさせるのだと思う。

上野：来年度入ってくる選手が中大はまた凄くて、5000メートル13分台が３～４人。だからそれを見据えての藤原正和監督の計画かなと。でも１区を集団でレースしていたら中大は作戦失敗ですよ。佐藤悠基選手（東海大OB）とか大迫傑選手（早稲田大ＯＢ）みたいに逃げていかないと。

瀬古：そうだね。でも、今はこの上位予想にはまだ絡めないから、それでいいんだよ。

上野：いや僕は中大を、瀬古さんの早稲田大推しと一緒で応援しているので（笑）。今年どれだけ頑張るかが今後のカギです。

取材・文●山本祐吏（THE DIGEST編集部）

＜次回へ続く＞

【プロフィール】

瀬古利彦（せこ・としひこ）
1956年７月15日三重県生まれ。早稲田大で箱根駅伝を４年連続花の２区を走り、２度区間賞を獲得。その後、日本マラソン界のエースとして羽ばたき、マラソン代表として２大会連続で五輪に出場した。現在は、日本陸上競技連盟のロードランニングコミッションリーダーに就任し、後進の育成に励んでいる。

上野裕一郎（うえの・ゆういちろう）
1985年７月29日長野県生まれ。中央大で主力として活躍。箱根駅伝には４年連続出場し、３年次には３区で９人抜きを披露した。2009年には日の丸を背負い1500メートルと5000メートルで世界選手権に出場。2018年12月から立教大の陸上部男子駅伝チームの監督に就任し、日本一速い現役監督として走りながら現役学生の指導にあたっている。