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フィギュア

4回転アクセルに挑む羽生結弦が全日本選手権で語った本音とは?極限まで追い込み、北京五輪での成功を目指す

沢田聡子

2022.01.13

4回転アクセルに悩み苦しむ羽生。それでも「全うするのが僕の使命」と力を込めた。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

4回転アクセルに悩み苦しむ羽生。それでも「全うするのが僕の使命」と力を込めた。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 ただ、右足首負傷後の精神的なストレスは大きく、食道炎になり発熱。1か月もの間、練習できなかったという。

「その時点で『止めちゃおうかな』って思った」と羽生は振り返る。

「『まあ、ここまでこられたし。(4回転アクセルの)形にはなったし、こけなくなったしな』と思って」

 周囲の期待と裏腹に、羽生は限界を感じていた。

「(4回転アクセルを)誰も跳んだことないんですよ。誰もできる気がしないって言ってるんですよ。できるようにするまでの過程って、本当にひたすら暗闇を歩いてるだけなんですよね。だから毎回『頭打って、脳震とうで倒れて死んじゃうんじゃないか』って思いながら、練習していました」
 
 27歳になった羽生は、時間とも戦っている。

「正直自分の中でも結構焦っていて、早く跳ばないと体どんどん衰えていくのは分かりますし。自分が設定した期限より明らかに遅れているので、『なんでこんなに跳べないんだろう』って苦しさはある」

 それでも羽生は、前に進むことを選んだ。4回転アクセルは「僕だけのジャンプじゃない」と感じているからだ。

「跳ぶのは僕なんですけど、結局言い出したのも僕なんですけど、でも皆さんが僕にしかできないって言って下さるのであれば、それを全うするのが僕の使命なのかなって思いました」

「悩んで苦しんで、『せっかくここまできたんだったら、やっぱ降りたい』って言っている自分がいるんで。むちゃくちゃ皆さんに迷惑かけるかもしれないですけど、もうちょっとだけ頑張ります」

 誰にも理解できないレベルで苦闘する羽生は、その成果である4回転アクセルを、北京五輪で世界に見せようとしている。

取材・文●沢田聡子

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