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「小指の骨折くらいならやりなさい!」コストルナヤの“トゥトベリーゼ組離脱”は指導陣の事実誤認も影響か

THE DIGEST編集部

2022.03.04

コストルナヤに事実上の退団宣告をしたトゥトベリーゼ氏(左奥)。その真意はどこにあったのか。(C)Getty Images

コストルナヤに事実上の退団宣告をしたトゥトベリーゼ氏(左奥)。その真意はどこにあったのか。(C)Getty Images

 今回の移籍劇に関して、大々的な検証記事を掲載したのが、ロシア・メディア『sport24』だ。「指導陣はコストルナヤの本当の診断結果を知らなかったのではないか?」と疑問を投げかけている。

 そもそも、昨年3月に「サンボ70」に復帰する際、怒れるトゥトベリーゼ氏は断固拒否の姿勢を崩さなかった。それでも愛娘の「チャンスを与えるべきよ」との嘆願もあって、コストルナヤに復帰の条件を提示する。厳しいトレーニングに文句を言わず全身全霊で取り組むことと、代名詞だったトリプルアクセルを完全復活させることの2点だ。直後のアイスショーでコストルナヤは見事にトリプルアクセルを着氷させ、ひとまず試用期間として復帰を認められた。

 しかし、その後はふたたびトリプルアクセルが安定感を欠いてしまう。練習態度にも不満を募らせていたトゥトベリーゼ氏は、徐々にコストルナヤへの関心が低下させていったという。そして決定的だったのが、右手の負傷だ。名コーチはテレビ局『Channel One』のインタビューで、なんとも手厳しい指摘をコストルナヤに向けた。

「彼女はボソボソと話していましたよ。転倒して、指の骨にヒビが入ったようですね。でも正直言って、その程度の怪我ならば滑走も演技も可能だと私は思います。私からは練習を続けて試合に出なさい、と伝えたんですけどもね」

 この発言を疑問視したのが『Sport24』だ。コストルナヤの主治医からCTスキャン後の診断書を入手し、彼女が明らかに右手の人差し指と中指を酷く骨折していた事実を紹介し、「ヒビの次元ではなかった」と主張。さらに今回の移籍報道に関連して、「サンボ70」の振付師であるアレクセイ・ゼレンジャコフ氏が発したコメントにも事実誤認があると指摘した。
 

 同氏は、「コストルナヤはたかが小指でキャリアを棒に振ったんだ。エテリ・ギオルギエブナは何度も叱咤していたよ。『足じゃないのよ。(手の)小指の骨折くらいならやりなさい! 成功を掴みたいなら仕事をしなさい!』とね」と言い放った。しかし『Sport24』は「トゥトベリーゼが言う“ヒビ”もゼレンジャコフが言う“小指”も不正確で、ふたりの間で見解が異なっているのもまた驚きだ。診断書が証明しているし、インスタグラムの画像からも明白である」と論じ、「指導陣は彼女の診断結果をちゃんと把握していなかった」と結論づけた。

 さらにゼレンジャコフ氏は「アリョーナはもうずっと練習に参加していなかったよ。モチベーションに問題を抱えていた」とも語っているが、実際は練習を再開させたものの、再度の骨折によって継続できなかったにすぎない。

 いずれにせよ、トリプルアクセルを復活させられなかった時点で、コストルナヤの“テスト期間”は終わりを告げていたのかもしれない。それ以前に、トゥトベリーゼ氏は一度離反したコストルナヤを心の底では許していなかったのか。いまとなっては、真相は闇の中である。

構成●THE DIGEST編集部

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