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【名馬列伝】史上もっとも破天荒な三冠馬、単なる”駿馬”ではなかったオルフェーヴルの魅力

三好達彦

2022.03.05

ラストランの2013年有馬記念では、2着に8馬身差をつける圧勝劇で花道を飾った。写真:産経新聞社

ラストランの2013年有馬記念では、2着に8馬身差をつける圧勝劇で花道を飾った。写真:産経新聞社

 日本競馬史上、もっとも破天荒な三冠馬。そして、もっとも世界の最高峰に近付いた歴代最強馬。それがフランス語で「金細工師」の意味を持つ名をいただいたオルフェーヴルである。

【関連動画】8馬身差の圧勝劇!最後まで強さを見せつけた暴君オルフェ―ヴルのラストランをプレイバック

 オルフェーヴルはデビュー戦から持ち前のやんちゃぶりを発揮した。
 2010年8月の新潟で迎えた新馬戦(芝1600m)。中団から伸びて初戦を勝利で飾ったのは良かったが、最後の直線ではどんどん内ラチまで斜行し、ゴール後には鞍上の池添謙一騎手を振り落として馬場を駆けまわった。そのため、勝ち馬の記念撮影が中止されるという珍事まで招いて話題になったほどだ。

 その後、重賞初挑戦となる京王杯2歳ステークス(GⅡ、東京・芝1400m)では、ゲートのなかで嘶いて大きく出遅れ、単勝1番人気の支持を裏切って10着に大敗した。
 
 一説には、サラブレッドの遺伝に関しての言い伝えで、「能力よりも気性が伝わる」というものがある。それが事実ならば、オルフェーヴルのやんちゃな気性は、祖父と父から受け継いだものだと言えるだろう。

「日本競馬を変えた」とまで言われる大種牡馬で、オルフェーヴルの祖父(父の父)にあたるサンデーサイレンスは現役時代、普段の調教では決まった攻め馬手しか乗せようとせず、レース中には競り合う馬の首元を噛みつきに行ったために勝利を逃したことがあるほどの気性の荒さで知られた。

 その仔で、オルフェーヴルの父であるステイゴールドも”癖(くせ)馬”だった(オルフェーヴル=金細工師の名は、父の名の一部、”ゴールド”にちなんで付けられたものである)。

 デビュー前の牧場で何度も騎乗者を振り落としたことですでに”要注意”とのレッテルを貼られていたステイゴールドは、ポテンシャルの高さは認められていたものの、なかなかその能力を発揮できず、初勝利まで6戦を要した。その後は成績が安定してきたものの、なかなか重賞勝ちまでは届かず、ファンに強烈な印象を残したのは、10番人気で臨んだ5歳時のGⅠ、天皇賞(春)で2着に食い込んだことだった。
 

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