前回のようにホテルの窓から見えた富士山に大会当日になって「今から行こう」と言い出すような破天荒さはなかった。ただ、高級ブランド店での爆買い、そしてパーティーはほぼ毎夜のように続いた。
主催者の要望で公開練習の実施が決定し、メイウェザーは受け入れたのだが、ジムに現れたのは開始予定時刻を1時間以上も過ぎてから。さらに大会前日夜の会見は定刻スタートとなったが、昼間に行なわれる予定だった公式インタビューは欠席。そうかと思うと会見では取材陣の質問に丁寧に答えた。
RIZIN運営もサプライズを用意する。前日会見にパッキャオを登場させたのだ。練習サポートした朝倉を応援しにきたというが、会見の壇上でメイウェザーと舌戦を展開したのには驚いた。「何がどうなってるんだ」という感じだ。
もう一つ驚いたのが、ABEMAの中継がメイウェザー密着カメラを用意したことだ。大会当日、ホテルを出るところから一挙手一投足を彼らは追いかけた。移動中も事細かにレポート。「今、埼玉に入りました」ときた。結局、メイウェザーが会場入りしたのは大会が始まって1時間を過ぎようかという時だった。『超RIZIN』は全4試合と短い。普通の基準でいえば、準備する時間が足りなすぎる。しかも大会はセミまでの3試合すべてが一本、KO決着となった。
それでもメイウェザーは慌てず騒がず。セミが終わってもバンデージを巻き続け、マイペースにコスチュームに着替える。そして、しばらく観客に“待ち時間”を作って悠々とリングに上がった。
リングの上では、自らがただの変人ではないことを(当たり前だが)見せつけた。2ラウンド終了のゴングと同時に右ストレートがヒットし、朝倉はダウン。立ち上がれない姿を見てレフェリーがカウントを始めてストップした。30歳の日本人ファイター曰く「地面が歪んだ」というほどのダメージだった。さすがというしかないメイウェザーの強さ。特にフィニッシュを狙っていたわけでもないという。
だが、多くの観客には、健闘する朝倉の姿が印象に残ったはずだ。榊原CEOも評価したように、あくまで真っ向勝負。本人にも渡り合えているという感触があったようだ。2ラウンドには右フックをクリーンヒットさせた。
「誇りに思うよ。彼のおかげで盛り上がった。闘いにきていたね」
インタビュースペースでのメイウェザーは、そう言って朝倉を称えた。那須川戦では自分がコメントするだけだったが、今回は質疑応答も。28分にわたって語り続けた。それもまた意外だった。
あらゆる人間がメイウェザーに振り回された。誰も彼の行動は読めない。何をするか決められるのはメイウェザーだけ。とはいえ、これは単なる金儲けではなかった。朝倉未来のドラマがあり、数えきれないエピソードがあった。
“狂騒曲”は決して耳障りなものではなかったと、取材した人間として書いておきたい。
取材・文●橋本宗洋
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主催者の要望で公開練習の実施が決定し、メイウェザーは受け入れたのだが、ジムに現れたのは開始予定時刻を1時間以上も過ぎてから。さらに大会前日夜の会見は定刻スタートとなったが、昼間に行なわれる予定だった公式インタビューは欠席。そうかと思うと会見では取材陣の質問に丁寧に答えた。
RIZIN運営もサプライズを用意する。前日会見にパッキャオを登場させたのだ。練習サポートした朝倉を応援しにきたというが、会見の壇上でメイウェザーと舌戦を展開したのには驚いた。「何がどうなってるんだ」という感じだ。
もう一つ驚いたのが、ABEMAの中継がメイウェザー密着カメラを用意したことだ。大会当日、ホテルを出るところから一挙手一投足を彼らは追いかけた。移動中も事細かにレポート。「今、埼玉に入りました」ときた。結局、メイウェザーが会場入りしたのは大会が始まって1時間を過ぎようかという時だった。『超RIZIN』は全4試合と短い。普通の基準でいえば、準備する時間が足りなすぎる。しかも大会はセミまでの3試合すべてが一本、KO決着となった。
それでもメイウェザーは慌てず騒がず。セミが終わってもバンデージを巻き続け、マイペースにコスチュームに着替える。そして、しばらく観客に“待ち時間”を作って悠々とリングに上がった。
リングの上では、自らがただの変人ではないことを(当たり前だが)見せつけた。2ラウンド終了のゴングと同時に右ストレートがヒットし、朝倉はダウン。立ち上がれない姿を見てレフェリーがカウントを始めてストップした。30歳の日本人ファイター曰く「地面が歪んだ」というほどのダメージだった。さすがというしかないメイウェザーの強さ。特にフィニッシュを狙っていたわけでもないという。
だが、多くの観客には、健闘する朝倉の姿が印象に残ったはずだ。榊原CEOも評価したように、あくまで真っ向勝負。本人にも渡り合えているという感触があったようだ。2ラウンドには右フックをクリーンヒットさせた。
「誇りに思うよ。彼のおかげで盛り上がった。闘いにきていたね」
インタビュースペースでのメイウェザーは、そう言って朝倉を称えた。那須川戦では自分がコメントするだけだったが、今回は質疑応答も。28分にわたって語り続けた。それもまた意外だった。
あらゆる人間がメイウェザーに振り回された。誰も彼の行動は読めない。何をするか決められるのはメイウェザーだけ。とはいえ、これは単なる金儲けではなかった。朝倉未来のドラマがあり、数えきれないエピソードがあった。
“狂騒曲”は決して耳障りなものではなかったと、取材した人間として書いておきたい。
取材・文●橋本宗洋
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