「試合中に真剣になったか? いったい何のために真剣になる必要があるんだ」
9月25日にさいたまスーパーアリーナで行なわれた「超RIZIN」で、朝倉未来(トライフォース赤坂)を右ストレートで2回途中TKO勝ちを収めたフロイド・メイウェザー(米国)は、時折、白い歯を覗かせながら“令和の異種格闘技戦”と称された一戦をそう振り返った。
もっとも、余裕は試合前から見せていた。会場入りは予定よりも1時間ほど遅れ、試合に向けてバンテージを巻き始めたのもゴングまで30分を切っていたタイミングだ。さらにウォーミングアップも軽いミット打ちをしたぐらいで、およそ総合格闘家と試合をするとは思えないほどの振る舞いだった。
それでも朝倉をして「異次元だった」と言わしめたレジェンドは、序盤こそストレートやジャブのコンビネーションなどパンチを被弾しながらも「1ラウンドはどのファイターも強いものさ」と意に介さない。そして、2回に相手が懐に飛び込んできたタイミングで右ストレートが頭部の側面に炸裂。かすったかのようにも見えた当たりだったが、「地面が揺れていた」という朝倉のダメージはあまりに大きかった。
試合後の会見で「俺は試合中でも分析できる」とも語って、引き連れてきた仲間たちと笑顔で会話を交わしていた。終始、和やかな雰囲気を漂わせた45歳のリビングレジェンドだったが、記者から、このイベントのために来日していた元ボクシング6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)と「再戦はあるか」と問われると、あからさまに表情を強張らせた。
瞬間的ではあったが、ピリついたムードを醸し出した。パッキャオとは2015年にタイトルマッチで対峙していたメイウェザーだが、数秒ほど考え込んでから、次のように言葉を絞り出した。
「俺はこの競技から引退した身だ。とにかく俺は自分のやりたいことをやりたいように自分のキャリアを積み上げてきた。そのために途方もないほど大変な思いをしながら、世界のトップレベルで常に勝ち続けてきた。だから俺はすべてをコントロールする立場にあるんだ。
俺はこのエキシビションを通して、元世界王者や現役王者なんかとやるつもりはない。自分に余計なダメージを負うようなリスクを背負う気はない。この先は自分のやりたいようにやって、挑みたい者を選ぶ。そして、楽しく世界中のファンにエンターテイメントを届けるんだ」
一線級を退いた現在“スタイル”を強調したメイウェザー。彼はさらに「マニーは違う」と指摘。そして、再戦に向けた考えを明らかにした。
「彼の場合はボクシングという競技が引退に押しやったんだ。俺とは違う。だから、俺が彼の立場だったらメイウェザーとやりたいと思うだろうし、やり直したいと思うだろうね。ただ、俺はもう年齢を重ねているし、そんなつもりもない。俺はキャリアの若いころに散々な犠牲を払ってきた。だから、ここからは俺が選んだことしかやらない」
加えて「俺のエキシビションを強制して『見ろ!』とは言わない。でも、今もオファーが山ほどある。楽して稼ぐという選択肢があるならそっちを俺は選ぶ」と続けた。自らのライフプランを淡々と語ったメイウェザーの表情は、皮肉にも“真剣”だった。
取材・文●羽澄凜太郎
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9月25日にさいたまスーパーアリーナで行なわれた「超RIZIN」で、朝倉未来(トライフォース赤坂)を右ストレートで2回途中TKO勝ちを収めたフロイド・メイウェザー(米国)は、時折、白い歯を覗かせながら“令和の異種格闘技戦”と称された一戦をそう振り返った。
もっとも、余裕は試合前から見せていた。会場入りは予定よりも1時間ほど遅れ、試合に向けてバンテージを巻き始めたのもゴングまで30分を切っていたタイミングだ。さらにウォーミングアップも軽いミット打ちをしたぐらいで、およそ総合格闘家と試合をするとは思えないほどの振る舞いだった。
それでも朝倉をして「異次元だった」と言わしめたレジェンドは、序盤こそストレートやジャブのコンビネーションなどパンチを被弾しながらも「1ラウンドはどのファイターも強いものさ」と意に介さない。そして、2回に相手が懐に飛び込んできたタイミングで右ストレートが頭部の側面に炸裂。かすったかのようにも見えた当たりだったが、「地面が揺れていた」という朝倉のダメージはあまりに大きかった。
試合後の会見で「俺は試合中でも分析できる」とも語って、引き連れてきた仲間たちと笑顔で会話を交わしていた。終始、和やかな雰囲気を漂わせた45歳のリビングレジェンドだったが、記者から、このイベントのために来日していた元ボクシング6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)と「再戦はあるか」と問われると、あからさまに表情を強張らせた。
瞬間的ではあったが、ピリついたムードを醸し出した。パッキャオとは2015年にタイトルマッチで対峙していたメイウェザーだが、数秒ほど考え込んでから、次のように言葉を絞り出した。
「俺はこの競技から引退した身だ。とにかく俺は自分のやりたいことをやりたいように自分のキャリアを積み上げてきた。そのために途方もないほど大変な思いをしながら、世界のトップレベルで常に勝ち続けてきた。だから俺はすべてをコントロールする立場にあるんだ。
俺はこのエキシビションを通して、元世界王者や現役王者なんかとやるつもりはない。自分に余計なダメージを負うようなリスクを背負う気はない。この先は自分のやりたいようにやって、挑みたい者を選ぶ。そして、楽しく世界中のファンにエンターテイメントを届けるんだ」
一線級を退いた現在“スタイル”を強調したメイウェザー。彼はさらに「マニーは違う」と指摘。そして、再戦に向けた考えを明らかにした。
「彼の場合はボクシングという競技が引退に押しやったんだ。俺とは違う。だから、俺が彼の立場だったらメイウェザーとやりたいと思うだろうし、やり直したいと思うだろうね。ただ、俺はもう年齢を重ねているし、そんなつもりもない。俺はキャリアの若いころに散々な犠牲を払ってきた。だから、ここからは俺が選んだことしかやらない」
加えて「俺のエキシビションを強制して『見ろ!』とは言わない。でも、今もオファーが山ほどある。楽して稼ぐという選択肢があるならそっちを俺は選ぶ」と続けた。自らのライフプランを淡々と語ったメイウェザーの表情は、皮肉にも“真剣”だった。
取材・文●羽澄凜太郎
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