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【秋華賞】薔薇一族スタニングローズと25歳の坂井瑠星、人馬とも悲願のGⅠ初制覇!4着以下はかなりの力量差が…

三好達彦

2022.10.17

 直線へ向くと、2番手から抜け出したサウンドビバーチェが先頭に立ち、それをアートハウスとスタニングローズが追う。そして4コーナーで大きく外へ膨らんだナミュールと、後方からインを突いて進路を探しながら進むスターズオンアースも内外に分かれて激しく追い込んでくる。

 残り200mを切り、坂で脚色が鈍ったアートハウスとサウンドビバーチェを交わして先頭に立ったのはスタニングローズ。鞍上の激しい叱咤に応えて二の脚を使うと、猛追してきたナミュールとスターズオンアースを抑え切って先頭でゴールを駆け抜け、念願のGⅠタイトルを手に入れた。

 結果としてオークス(GⅠ、東京・芝2400m)の1~3着によって上位が占められ、オークスで2着だったスタニングローズは、この大舞台でスターズオンアースにリベンジを果たしたことになる。

 スタニングローズとは「魅力的なバラ」の意味で、この名前から分かるとおり、輸入牝馬ローザネイから派生し、ローズキングダムなど多くの活躍馬を出している名牝系、俗称「バラ一族」から生まれた1頭。それと同時に、日本を代表する種牡馬だったキングカメハメハの産駒としては最終世代でもある。

 2、3着の2頭が”ぶっつけ”での参戦だったのと違い、本馬は秋シーズン初戦として臨んだ紫苑ステークス(GⅢ、中山・芝2000m)で勝利を飾っての一戦。ステップレースを使って上積みを見込むというローテーションで、陣営がこのレースに懸ける執念が伝わるように素晴らしい走りを見せた。
 
 手綱をとった25歳の坂井瑠星騎手は、これがJRAのGⅠは初勝利。世界レベルでの活躍で知られる矢作芳人厩舎の所属らしく、デビュー2年目からオーストラリアへ長期遠征したり、矢作厩舎の馬が遠征する際には帯同して調教に加わるなど、多くの経験を積んできた。そして、今年3月にはドバイのゴドルフィンマイル(G2、ダート1600m)を自厩舎のバスラットレオン(牡4歳)で制し、海外重賞初制覇を果たしていた。ことしは16日終了時点で72勝を挙げてキャリアハイを更新中。スタニングローズともども、これからのさらなる成長が楽しみな存在である。

 2、3着となった2頭に関しては、ナミュールの「勝負どころの4コーナーで遠心力もあって外へ振られてしまった」という横山武史騎手、スターズオンアースの「ゲートからの一歩目が遅く、後ろからのレースになった。スタートだけが残念だった」というクリストフ・ルメール騎手のコメントが敗因のすべてを表していると言っていいだろう。両馬とも勝ち馬と遜色ない能力の高さを示しており、上位3頭の争いからは今後も目が離せなくなった。

 また、プレビュー記事で何頭かの穴馬候補を挙げたが、オークスの上位3頭がここでも1~3着を占めたことからも分かるように、4着以下の馬たちは現状でかなりの力量差があることを認めざるを得ない。不明を恥じるばかりである。

文●三好達彦

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