1000mの通過ラップは58秒5。馬場状態を考慮すると、やや速めのミドルペースというところ。ただ、逃げ・先行勢も無理して飛ばしている印象はなく、前に有利な流れのように見えた。
勝負の直線。ジョッキーたちはインコースもさほど馬場状態が悪化していないことを把握していたため、距離損を防ぎながら一斉にスパートに入った。内ラチ沿いでロータスランドが逃げ粘るところへソダシが襲い掛かって、坂上で先頭に躍り出るが、そこへ内からソングライン、外からスターズオンアースも猛追。3頭の追い比べとなるなか、終いにグイっとひと伸びしたソングラインが粘るソダシをアタマ差退けたところでゴール。前年に同じ舞台で行なわれた安田記念を制した女帝が、その力を見せつける格好となった。
優勝したソングラインは父キズナ、母ルミナスパレード、母の父シンボリクリスエスという血統。字面では、どちらかと言えば中長距離向きと思われるが、一貫して短距離からマイルを使われ、堅実な走りを見せてきた。東京のマイル戦に限れば、未勝利勝ちをはじめ、NHKマイルカップ(GⅠ)が2着、富士ステークス(GⅡ)が優勝、そして昨年の安田記念(GⅠ)が優勝と、いわゆる”自分の庭”とでもいうべき得意舞台だった。
今年は2月末のサウジアラビア遠征から帰国後、疲労をとってからじっくりと乗り込んで丁寧に仕上げた林調教師は「サウジでファンの皆さんに申し訳ないレースをして(10着)、何とか巻き返したいと運動量を増やすなどしてきっちり仕上げ、祈るような思いでレースに臨みました」と感無量の様子。
5歳ではあるが、キャリアはここまで14戦と大事に使われてきており、これからもまだまだ活躍が望めるソングライン。「調子を見ながら」(林調教師)ではあるが、今後は昨年と同じサイクルで安田記念への出走を予定しているとのことだ。
ソダシは約半年ぶりのレースだったが、マイルGⅠを3勝している能力を如何なく発揮して、さすがの走りを見せての2着。こちらもまだまだマイル戦線でトップクラスの力に衰えがないところを示した。
1番人気ながら3着に敗れたスターズオンアースは、クリストフ・ルメール騎手が「じりじりと伸びているが、マイルのスペシャリストが相手では分が悪かった」と語るように、終いの脚で切れ負けした印象。桜花賞を勝ってはいるが、仮に距離不適であっても、3歳春には地力の高さでマイナス面をカバーしてしまうことがある。ルメール騎手が「この馬は2000m以上が合っている」というように、次走、宝塚記念に出走してくれば迷いなく”買い”だろう。
7着に終わったナミュールは、「あれだけの不利を受けてしまっては厳しかった」という横山武史騎手のコメントがすべてだろう。本来は中距離が得意な馬ではあるが、マイルに対応できたことは、残念なレースのなかにあって、わずかな希望だったと言える。もちろん、次走以降もマークを怠れない存在であることは間違いない。
また、15番人気という低評価を覆し、外々を回りながら0秒2差の4着に食い込んだディヴィーナ(牝5歳/栗東・友道康夫調教師)の上がり最速の追い込みには驚かされた。出遅れ癖が解消されれば、さらなる躍進が望めるのではないか。
文●三好達彦
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優勝したソングラインは父キズナ、母ルミナスパレード、母の父シンボリクリスエスという血統。字面では、どちらかと言えば中長距離向きと思われるが、一貫して短距離からマイルを使われ、堅実な走りを見せてきた。東京のマイル戦に限れば、未勝利勝ちをはじめ、NHKマイルカップ(GⅠ)が2着、富士ステークス(GⅡ)が優勝、そして昨年の安田記念(GⅠ)が優勝と、いわゆる”自分の庭”とでもいうべき得意舞台だった。
今年は2月末のサウジアラビア遠征から帰国後、疲労をとってからじっくりと乗り込んで丁寧に仕上げた林調教師は「サウジでファンの皆さんに申し訳ないレースをして(10着)、何とか巻き返したいと運動量を増やすなどしてきっちり仕上げ、祈るような思いでレースに臨みました」と感無量の様子。
5歳ではあるが、キャリアはここまで14戦と大事に使われてきており、これからもまだまだ活躍が望めるソングライン。「調子を見ながら」(林調教師)ではあるが、今後は昨年と同じサイクルで安田記念への出走を予定しているとのことだ。
ソダシは約半年ぶりのレースだったが、マイルGⅠを3勝している能力を如何なく発揮して、さすがの走りを見せての2着。こちらもまだまだマイル戦線でトップクラスの力に衰えがないところを示した。
1番人気ながら3着に敗れたスターズオンアースは、クリストフ・ルメール騎手が「じりじりと伸びているが、マイルのスペシャリストが相手では分が悪かった」と語るように、終いの脚で切れ負けした印象。桜花賞を勝ってはいるが、仮に距離不適であっても、3歳春には地力の高さでマイナス面をカバーしてしまうことがある。ルメール騎手が「この馬は2000m以上が合っている」というように、次走、宝塚記念に出走してくれば迷いなく”買い”だろう。
7着に終わったナミュールは、「あれだけの不利を受けてしまっては厳しかった」という横山武史騎手のコメントがすべてだろう。本来は中距離が得意な馬ではあるが、マイルに対応できたことは、残念なレースのなかにあって、わずかな希望だったと言える。もちろん、次走以降もマークを怠れない存在であることは間違いない。
また、15番人気という低評価を覆し、外々を回りながら0秒2差の4着に食い込んだディヴィーナ(牝5歳/栗東・友道康夫調教師)の上がり最速の追い込みには驚かされた。出遅れ癖が解消されれば、さらなる躍進が望めるのではないか。
文●三好達彦
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