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ラグビー

34歳のリーチ マイケルはなぜ国内リーグワンで大暴れできたのか? 4度目のラグビーW杯出場へ心に留めた「セルフィッシュ」の意識

THE DIGEST編集部

2023.06.26

 6月12日、日本代表は約3週間の浦安合宿を始めた。過半数が非公開というスケジュール下、序盤のハイライトとなったのは仮設テント内でのタックル練習だ。

 約2週間、帯同するジョン・ドネヒュースポットコーチのもと、格闘技の要素を交えて鍛える。

 胴体を曲げず、首を落とさず、相手の服ではなく身体を掴んで懐へ踏み込む。かような基礎、基本を、1時間ほど給水なしという極限状態で遂行しにかかる。

 ワールドカップイヤー最初の本格的なキャンプ。タフな時間を過ごす思いにも、リーチは「セルフィッシュ」の意識をにじませた。

「自分にフォーカスすることが大事。まだセレクション(メンバー選考の段階)だし、自分の実力もまだまだ証明しないといけない」
 
 もっともこの人の真の野望は、「セルフィッシュ」とは異なる類にあたる。

 日本大会で2度目の代表主将を任された時は、一緒に戦う選手にいくつもの講義を重ねていた。

 日本の戦中戦後史、東日本大震災がもたらした災禍…。多国籍からなる通称ブレイブ・ブロッサムズの「潜在能力」を引き上げたいからと、組織を取り巻く歴史的背景をシェアした。

 仲間のため、もちろん自分自身のためにも組織力を高めたがる人が、いまはあえて「セルフィッシュ」であろうとしているわけだ。ここに妙味があった。

「僕がいる、いないではなく、強いチーム(日本代表)を作るのが目標です」

「(フランスでは)優勝、狙いたい。上のレベルで戦えるチームになってから、目指して狙いたい。いま、優勝できる自信があるかと言ったら難しい。でも、可能性はゼロじゃない。ここからどう自信をつけられるか――」

 15歳で来日してから札幌山の手高校、東海大学、いまいる東芝ブレイブルーパス東京での活動を通し、他国の関係者が思う以上に日本ラグビー界のポテンシャルは高いと信じてきた。いまも然りだ。

 35歳の誕生日を迎える10月7日は、ちょうど次のワールドカップの大会期間中である。規律正しく勤勉な同志と、幸せな戦いに浸っている予定だ。

取材・文●向風見也
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