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格闘技・プロレス

「逃げるフルトン、追う井上尚弥」の構図か!? 日本ボクシング界の最高傑作は“難攻不落”の王者を倒し切れるのか

橋本宗洋

2023.07.25

スーパーバンタム級2団体統一王者のフルトン。冷静沈着な試合運びが持ち味だ。(C) Getty Images

スーパーバンタム級2団体統一王者のフルトン。冷静沈着な試合運びが持ち味だ。(C) Getty Images

 重要なのは、ただ強いというだけではないということだ。常にアグレッシブで“倒す”闘いはボクシングを知らない者でも魅了する。アメリカの専門誌が選出する「パウンド・フォー・パウンド」ランキングの1位になったこともある。「パウンド・フォー・パウンド」とは、階級の違いがないと仮定した場合の強さの比較。井上は海外のメディアから、世界最高の実力者だと評価されたことになる。
 
 今回、井上が対戦するフルトンも無敗の選手。プロキャリア21戦全勝である。KO数は8。いわゆるハードパンチャーではなく、オールラウンドな試合巧者タイプと言っていいだろう。

 試合を中継する配信プラットフォーム・Leminoでのインタビューで、井上が所属する大橋ジムの大橋秀行会長は、フルトンについてこう語っている。

「強さというより勝ちにくい選手」

 決して派手な闘いをするタイプではないし、怖さも感じさせない。しかしそれでも無敗で世界タイトルを2つ獲ったという実績がある。つまり対戦相手にとって相当にやりにくいタイプだということだ。

 フルトンのキャッチフレーズは“クールボーイ・ステフ”という。まさに冷静沈着な闘いが武器。アメリカ・フィラデルフィアの治安が悪い地域で育ったフルトン。街中で銃声を聞くのも当たり前の生活だったという。そんな生活を抜け出し、ボクシングで成功するための武器が冷静さであり、どんな相手にも対応して自分のペースに持ち込むタフさだったのだろう。

 いわばフルトンは“難攻不落”のチャンピオン。そんな選手を井上がどう攻略するのかが試合のポイントになってくる。井上自身「フルトンは、真っ向勝負はしてこないと思います。逃げるフルトン、追う井上尚弥という試合になるはず」と語っている。
 
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