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【名馬列伝】35年前、3度実現した至極の“芦毛対決”。タマモクロスvsオグリキャップは師走の中山を別世界に変えた<後編>

三好達彦

2023.08.01

 芦毛対決の第2章はジャパンカップ(GⅠ、東京・芝2400m)となった。今でこそ、日本調教馬の天下となっている本レースだが、1988年当時はまだ外国馬にはなかなか及ばなかった。この年も、翌年から社台スタリオンステーションで種牡馬入りすることが決まっていた凱旋門賞馬トニービンをはじめとするG1ホースが参戦し、それらと日本の「芦毛2強」の対決が大いに注目された。

 レースは第2コーナーから捲り気味に進出したタマモクロスが直線に入って一旦は先頭に立つが、それを目標に仕掛けのタイミングを待っていた名手クリス・マッキャロンが手綱をとった米国のペイザバトラーに差しきられて2着に敗れ、オグリキャップはそれからさらに差のある3着に終わった。

 ジャパンカップ後、タマモクロス陣営から「有馬記念を最後に現役を引退、種牡馬入りさせる」との発表があった。そのため芦毛対決の第3章は泣いても笑ってもこれきりという最終章として行なわれることになった。
 
 この報道で闘志に火を点けたのは、タマモクロスに二度にわたって後塵を拝しているオグリキャップ陣営だった。当時のオーナーであった佐橋五十雄はどうにか現役最後のレースとなるタマモクロスを負かすため、「何としても岡部(幸雄)を乗せてほしい」と調教師の瀬戸口勉に訴えた。岡部はいったん騎乗依頼を断るのだが、瀬戸口の「一回限りでかまわない」という条件を飲んで受諾した。

 ファン投票ではタマモクロスがオグリキャップを抑えて1位となり、有馬記念の馬券においても、タマモクロスがオッズ2.4倍で単勝1番人気となり、オグリキャップは3.7倍の2番人気に甘んじた。

 10万人以上を飲み込んだ中山競馬場は異様なまでの熱気が横溢し、師走の慌ただしさも加わってか、そこだけが別世界になったような騒ぎになっていた。
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