日本代表の攻めには、意図があった。
後半6分、ハーフ線上中央で堀江が接点に身体を入れ攻守逆転を決める。左中間へショートパスで展開。次は右に並ぶフォワードのユニットを経由し、スタンドオフの松田力也、フルバックの松島幸太朗、センターの長田智希とつないでスペースを破る。敵陣10メートル線付近右まで進む。
その頃にはすでに左に陣形ができていて、接点に近い側にいた堀江がパスをもらい、防御を引き寄せてさばき、左大外の大きな空間までつなぐ。
ここでは別な選手が若干、パスを乱しながらも、タッチライン際にいたウイングのジョネ・ナイカブラがラインブレイク。日本代表は再び右へ回し、堀江らによるフォワード陣のユニットでショートパス、オフロードパスを交える。接点周りの穴を突く。敵陣中盤まで侵入した。
このシーンでは結局、攻め込んだ先でボールを落とすという堀江の言うところの「個人のミス」が発生。得点は生まれなかった。しかし、人数が足りないなかでもスタイルを信じ、貫こうとした点には2016年秋に就任のジェイミー・ジョセフヘッドコーチも太鼓判を押す。
「チームのスピリットを感じました」
前職ハイランダーズ時代からジョセフと一緒に働くトニー・ブラウンアタックコーチは戦前、こう補足していた。
「ミスを少なくしていくことは、目指さないといけない。ただ、ボールを動かすことは止めて欲しくない」
いまはエラーを防ごうとするより、リスクを負って球を回すよう促す時期とする。その前提となるシステムの理解が深まっているため、堀江はそう悲観しないのだ。
「『なんで(戦い方を)わかってないねん』という、理解力のできてない方(が原因)のミスはどうしようもできない。でも、個人での『あと少し』『落ち着いて』って言うミスは、した本人が一番、(改善策などを)わかっている。『言われんでもわかるミス』です。もちろん僕らは(実質的に)プロチームだし、人から見られて成り立っているので、ファンの人からは色々と言われるかもしれないですけど。(誰も)ミスをしたくてしているわけではないのはわかっている。プレッシャーが高い大事な試合でいいクオリティでできるか、チームメイトで言い合いながらして(高めて)いく」
チームは6月中旬から浦安合宿を始めていた。ジョー・ドネヒュー客員コーチの1時間ぶっ通しのタックルセッションで心身を苛め抜くなど、蒸し暑くなるなか負荷をかけた。宮崎に拠点を移した7月にも、試合への準備と心肺に負荷のかかるトレーニングを並行して行なった。
本番で強豪国を倒すことから逆算し、ブラウンはあえて選手に難行を課す。
「選手たちには(試合への)1週間のなかでもフィットネスのプレッシャーをかけている。W杯でベストになるために、そうしています」
結果が出ず周囲の目が厳しくなる現状を受け入れ、それでも自分たちの進む道を信じる。いまの日本代表の、それが現在地だ。
取材・文●向風見也
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その頃にはすでに左に陣形ができていて、接点に近い側にいた堀江がパスをもらい、防御を引き寄せてさばき、左大外の大きな空間までつなぐ。
ここでは別な選手が若干、パスを乱しながらも、タッチライン際にいたウイングのジョネ・ナイカブラがラインブレイク。日本代表は再び右へ回し、堀江らによるフォワード陣のユニットでショートパス、オフロードパスを交える。接点周りの穴を突く。敵陣中盤まで侵入した。
このシーンでは結局、攻め込んだ先でボールを落とすという堀江の言うところの「個人のミス」が発生。得点は生まれなかった。しかし、人数が足りないなかでもスタイルを信じ、貫こうとした点には2016年秋に就任のジェイミー・ジョセフヘッドコーチも太鼓判を押す。
「チームのスピリットを感じました」
前職ハイランダーズ時代からジョセフと一緒に働くトニー・ブラウンアタックコーチは戦前、こう補足していた。
「ミスを少なくしていくことは、目指さないといけない。ただ、ボールを動かすことは止めて欲しくない」
いまはエラーを防ごうとするより、リスクを負って球を回すよう促す時期とする。その前提となるシステムの理解が深まっているため、堀江はそう悲観しないのだ。
「『なんで(戦い方を)わかってないねん』という、理解力のできてない方(が原因)のミスはどうしようもできない。でも、個人での『あと少し』『落ち着いて』って言うミスは、した本人が一番、(改善策などを)わかっている。『言われんでもわかるミス』です。もちろん僕らは(実質的に)プロチームだし、人から見られて成り立っているので、ファンの人からは色々と言われるかもしれないですけど。(誰も)ミスをしたくてしているわけではないのはわかっている。プレッシャーが高い大事な試合でいいクオリティでできるか、チームメイトで言い合いながらして(高めて)いく」
チームは6月中旬から浦安合宿を始めていた。ジョー・ドネヒュー客員コーチの1時間ぶっ通しのタックルセッションで心身を苛め抜くなど、蒸し暑くなるなか負荷をかけた。宮崎に拠点を移した7月にも、試合への準備と心肺に負荷のかかるトレーニングを並行して行なった。
本番で強豪国を倒すことから逆算し、ブラウンはあえて選手に難行を課す。
「選手たちには(試合への)1週間のなかでもフィットネスのプレッシャーをかけている。W杯でベストになるために、そうしています」
結果が出ず周囲の目が厳しくなる現状を受け入れ、それでも自分たちの進む道を信じる。いまの日本代表の、それが現在地だ。
取材・文●向風見也
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