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遅咲きのディープ産駒プログノーシスの圧勝は歓迎も過剰な期待は禁物。推奨の堀厩舎2騎は道悪に泣く【札幌記念】

三好達彦

2023.08.22

 プログノーシスの川田将雅騎手は、返し馬の感触もあまり良くなかったなかでのレースで、タフな馬場状態のなかでどんな走りをするか確かめるぐらいの気持ちだったという。

 そして、「リズム良くポジションアップしていたので、それは馬に許してあげよう、ということで行かせてみました。こういう特殊な馬場になったので、適性の差が出たのかもしれないとは思います」と続け、あくまで控えめなトーンを崩さなかった。

 現役馬としては残り少なくなったディープインパクト産駒が、3月の金鯱賞(GⅡ、中京・芝2000m)に続いて二つ目の重賞タイトルを得て、やや遅咲きの花を開花させつつある段階に達したのは喜ばしいことだ。

 ただ、稍重のデビュー戦を快勝しているように(2戦目から前走まではすべて良馬場)、道悪の上手さで他馬に優ったという見方ができるのも確か。今後は10月29日の天皇賞・秋(GⅠ、東京・芝2000m)が目標になるだろうが、まだトップオブトップとの力量差はあると見るべきだろう。しかし一方で、道悪になれば侮れない存在になったのもまた確かである。
 
 トップナイフの2着は、同馬を管理する昆調教師から見ても「正直、驚きました」とコメントしているように、道悪を味方に付けて意外な快走を見せることになった。

 ただ、昨年末にはホープフルステークス(GⅠ、中山・芝2000m)、今春には弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ、中山・芝2000m)でともに2着に入った実績を持っている馬。クラシックの大敗で評価が一気に下がったが、まだ3歳という若さだけに、休養を経ての成長や復調が好結果に結びついた可能性もある。昆調教師は10月22日の菊花賞(GⅠ、京都・芝3000m)を目標とすることを明言しており、長距離戦でどんな走りを見せるかに興味津々だ。

 3着のソーヴァリアントは、ひと叩きされてから2戦2勝と得意な札幌コースでまずまずの走りを見せた。この馬も重馬場で勝利を挙げているように道悪巧者だった。ムラ駆けの傾向が強いが、ハマった際の一発にはGⅠ6勝の父オルフェーヴルという血も含めて警戒しておきたい。

 1番人気で大敗を喫したジャックドールは、武豊騎手が「状態は良かったが、力を出せなかった感じ」とコメントしているように、道悪に持ち味を削がれたのが敗因と見るべき。この敗戦で見限るのは早すぎる。

 まさかの11着に大敗したシャフリヤールだが、レース後に喉頭蓋エントラップメント(俗にノド鳴りと言われる症状に近い)を発症していることが判明。手術を受けることが決まっており、いまは快癒を祈るのみだ。

 プレビュー記事で推奨した堀宣行厩舎のヒシイグアス(牡7歳)が5着、ダノンベルーガ(牡4歳)は4着に追い込むのが精一杯だった。両頭の騎手がともに「道悪でのめっていた」とコメントしており、ここは馬場の悪化を想定していなかった筆者が力足らずだったと言うほかない。

文●三好達彦

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