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ずば抜けた能力で完勝したドゥレッツァ。33年ぶりの快挙を成し遂げた陣営の“我慢”&ルメール騎手の“奇策”に見えた確勝戦法【菊花賞】

三好達彦

2023.10.24

 京都コースの1周目第4コーナーを先頭で回ったドゥレッツァは、ゲート直後のハイテンションが嘘のように収まり、鞍上とピタリと折り合って直線へ向いた。そこでは、行く気にはやる2頭を先に行かせて3番手に控える余裕まで見せた。こうなると、勝った4レースですべて上がり3ハロンの最速時計を叩き出している彼のこと。菊花賞は完全にドゥレッツァの競馬になった。

 前の2頭に並びかけて迎えた直線。鞍上にゴーサインを出されたドゥレッツァは一気に先頭に躍り出て、さらには後続を突き放す。そして、ダービー馬と皐月賞馬を引き連れて堂々と先頭でゴール。地道に条件戦を勝ち上がってきた秘密兵器が、ついにベールを脱いだ瞬間だった。なお、重賞未勝利馬による菊花賞制覇は1990年のメジロマックイーン以来、33年ぶりの快挙だ。
 
 それにしても、種牡馬としてのドゥラメンテの凄さをあらためて突き付けられるような結果だった。牝馬三冠制覇を達成したリバティアイランド(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)はもちろんのこと、5月にNHKマイルカップ(GⅠ)を制したシャンパンカラー(牡3歳、美浦・田中剛)をも輩出し、ついには菊花賞馬まで送り出した。今年は「ドゥラメンテの年」と言っても過言ではないだろう。

 ドゥラメンテは2021年8月、病気のため急死しており、2024年にデビューを控えた22年生まれの産駒達が最後の世代となる。現時点での公式記録としては、主産記録が96頭となっており、その中から活躍馬が出る可能性はまだ十分あるだろう。

 GⅠ馬となったドゥレッツァを管理する尾関調教師はレース後の共同会見で、「ドゥレッツァはチャンピオンディスタンス(※芝の2400m。近年では2000mへと移行し始めている)でも走れる馬だと思います。年末の香港国際競走にも登録していますが、今後については馬の様子を見ながら、オーナーと相談して決めたいと思います」とコメント。いちファンとしての願望を述べるならば、ジャパンカップ(11月26日)、それが無理なら、有馬記念(12月24日)に出走してほしいと願うばかりである。

 一方、2着のタスティエーラと3着に追い込んだソールオリエンスは力を十分に出し切っており、ただただ相手が悪かったという他ないだろう。

 また、プレビュー記事で主軸として推したサトノグランツ(栗東・友道康夫厩舎)は2周目の第3コーナー手前からジョッキーの手が激しく動くような有様で10着に大敗。当日の馬体は良く見えたものの、前走の神戸新聞杯(GⅡ)でのレコード勝ちによる反動があったのかもしれない。

文●三好達彦

【動画】メジロマックイーン以来、33年ぶりの重賞未勝利V!ドゥレッツァの菊花賞をチェック

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