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ラグビー

「一人で何でもできる」NZ代表モウンガが魅せた世界最高峰のプレーにリーチも感嘆!ワールドクラスの競演でリーグワン活性化

吉田治良

2023.12.18

 ディフェンスでも魅せた。31分にはカウンターに出たオールブラックスの僚友ケインにしつこく絡みついて敵陣でマイボールにし、PR木村星南のトライを呼び込んでいる。プレースキックの正確さは言うまでもない。この日は4本中3本のコンバージョンを成功させたが、うち2本はタッチライン際からの難しい位置から決めたものだった。プレーヤー・オブ・ザ・マッチ選出も当然だろう。
 
 とりわけ感嘆させられたのが判断力で、プレッシャーを受けた状況でも常に最適解を導き出してしまう。敵として対峙した東京SGの選手たちも、肌でその凄みを感じ取ったようだ。

 日本代表のSH齋藤直人が「タックルポイントに入ったと思ってもいなされる。初めての感覚だった」と舌を巻けば、モウンガから「近い将来、日本代表のジャージを着る日が間違いなく訪れる」とお墨付きをもらった22歳の高本も「ラン、ゲームコントロールともに素晴らしい。勉強になった」と感嘆する。

 リーチは「フォワードにこう動いてくれとか、これからはもっと厳しく(自分の考えを)チームにフィードバックしてほしい」と、あえてモウンガに注文を付けるが、こうして世界最高峰のスターたちから大いに刺激を受けて日本人プレーヤーが成長していけば、リーグワン、ひいてはエディー・ジョーンズがHCに復帰した日本代表のレベルアップにも確実につながるはずだ。

 実はこの試合で何よりも嬉しく感じたのが、タイムアップの瞬間だった。ホーンが鳴り、最後にボールを蹴り出したモウンガがスタンドにまで響き渡るような雄叫びを上げた一方で、敗れた東京SGのコルビはチームの輪から一人離れ、ピッチの中央で片膝をついてしばらくうなだれていた。誰もが認めるワールドクラスが、勝利への執着心を剥き出しにして、本気でリーグワンを戦ってくれている──。

「リーグの盛り上がりにはびっくりしている。ディビジョン2の試合にも多くのファンが集まっているし、(世界最高峰リーグと言われる)スーパーリーグよりも人気があるんじゃないかと思う。たくさんのスーパースターが日本に来てくれて、試合も見ていて楽しい。リーグワンは世界一のリーグになれる」

 リーチの言葉も決して絵空事とは思えない、激しく、説得力に満ちた府中ダービー。願わくはこれが一過性のブームに終わらないことを。

取材・文●吉田治良

【動画】ワールドスターと日本代表勢が競演! 東京SG vs BL東京戦ハイライト
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