次のサウスポーとの対戦は18年10月の元WBAバンタム級王者のカルロス・パヤノ戦、1回1分10秒に右ストレート一発でKO勝利。「背中しか見えない状況で終わってしまった」。
そして、3戦目が21年6月にあったバンタム級の防衛戦マイケル・ダスマリナス(フィリピン)戦。福田さんは米ラスベガスまで行って撮影した。2、3回にいずれも左ボディーで3度のダウンを奪い、TKO勝利。「2度目のダウンは、ドスンと当たるボディー。パーン! と破裂音のような、凄い音が聞こえた。通常、ボディーブローは相手の体力をそぐためのものだが、井上の場合は致命傷となる」
今度の試合は、左ボディーが鍵を握る、と見ている。
福田さんは大学在学中からボクシングライターとして活躍し、2001年にカメラマンに転向し、米国に拠点を移した。
実力が認められて08年から老舗専門誌「リング誌」のメインカメラマンとなり、本場のリング下で数々の名試合を撮影した。全米ボクシング記者会の最優秀写真賞を4度、受賞。14年には「リング誌」で福田さん自身の特集が組まれた。そのタイトルは「UNDISPUTED CHAMPION(揺るぎない王者)」。
「すべてやり尽くした」と16年に帰国し、日本のボクシングを世界に広めるための活動を始めた。その矢先に頭角を現したのが井上だった。
井上の特徴を、「非常に基本的な選手。ガードを高く保って、ジャブからワンツー、ボディーも入れる。スタンスが肩幅で、パンチにタメがなく、ブレがまったくない。パワー、テクニック、ステップ、すべてが鍛えあげられている」。
バランスを崩しながら強打を振るメキシコ系のボクサー、ガードを下げてリズムを取る黒人系のボクサーなど、海外の選手は、もっと癖があるという。
「日本ボクシングの基本を凝縮した井上が世界でこれだけ評価され、米国ではパウンド・フォー・パウンドで1、2位にランクされているのは痛快」という。
パンチをヒットさせている瞬間も、目を見開いたままでいるのも、特徴の一つという。多くのボクサーは目をつむったり、薄目になっていたり。「井上は最後まできっちり見ている。メイウェザーやゴロフキンなど、ごく少数のスーパースターに共通すること」
当然、写真映えもするが、それはパンチの瞬間に限らない。
「最初の構えから、カッコいい。ジャブを打つ左手の位置が絶妙で、先に仕掛けられるし、相手は入ってこられない。ゴングが鳴って、最初のパンチ交換の前に、何枚か撮るようにしている」
カメラマンにしてみれば、試合の最初から最後まで、「絵」になるボクサーなのだという。
取材・文●塩谷耕吾(朝日新聞社)
【動画】「本当の怪物だ!」井上尚弥、圧巻のフルトンKO劇をチェック
そして、3戦目が21年6月にあったバンタム級の防衛戦マイケル・ダスマリナス(フィリピン)戦。福田さんは米ラスベガスまで行って撮影した。2、3回にいずれも左ボディーで3度のダウンを奪い、TKO勝利。「2度目のダウンは、ドスンと当たるボディー。パーン! と破裂音のような、凄い音が聞こえた。通常、ボディーブローは相手の体力をそぐためのものだが、井上の場合は致命傷となる」
今度の試合は、左ボディーが鍵を握る、と見ている。
福田さんは大学在学中からボクシングライターとして活躍し、2001年にカメラマンに転向し、米国に拠点を移した。
実力が認められて08年から老舗専門誌「リング誌」のメインカメラマンとなり、本場のリング下で数々の名試合を撮影した。全米ボクシング記者会の最優秀写真賞を4度、受賞。14年には「リング誌」で福田さん自身の特集が組まれた。そのタイトルは「UNDISPUTED CHAMPION(揺るぎない王者)」。
「すべてやり尽くした」と16年に帰国し、日本のボクシングを世界に広めるための活動を始めた。その矢先に頭角を現したのが井上だった。
井上の特徴を、「非常に基本的な選手。ガードを高く保って、ジャブからワンツー、ボディーも入れる。スタンスが肩幅で、パンチにタメがなく、ブレがまったくない。パワー、テクニック、ステップ、すべてが鍛えあげられている」。
バランスを崩しながら強打を振るメキシコ系のボクサー、ガードを下げてリズムを取る黒人系のボクサーなど、海外の選手は、もっと癖があるという。
「日本ボクシングの基本を凝縮した井上が世界でこれだけ評価され、米国ではパウンド・フォー・パウンドで1、2位にランクされているのは痛快」という。
パンチをヒットさせている瞬間も、目を見開いたままでいるのも、特徴の一つという。多くのボクサーは目をつむったり、薄目になっていたり。「井上は最後まできっちり見ている。メイウェザーやゴロフキンなど、ごく少数のスーパースターに共通すること」
当然、写真映えもするが、それはパンチの瞬間に限らない。
「最初の構えから、カッコいい。ジャブを打つ左手の位置が絶妙で、先に仕掛けられるし、相手は入ってこられない。ゴングが鳴って、最初のパンチ交換の前に、何枚か撮るようにしている」
カメラマンにしてみれば、試合の最初から最後まで、「絵」になるボクサーなのだという。
取材・文●塩谷耕吾(朝日新聞社)
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