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怒涛の3連勝で悲願成就のテーオーロイヤルは伸びしろ十分! 感慨無量の菱田騎手は“20年前の自分”に胸熱メッセージ「見ておいてくれ!」【天皇賞(春)】

三好達彦

2024.04.30

「今まで生きてきた中で一番嬉しいです。最後は意外と冷静で、第4コーナー回ってくる時は、20年前に天皇賞を見に来ていた自分に『(このレースを)見ておいてくれ』という気持ちで追っていました。みなさんに感謝の気持ちでいっぱいです」

 これがGⅠ初勝利となった菱田騎手は、自らが騎手になることを決心したレースを挙げてコメント。自身のデビューから12年経ったいまも厩舎に所属して騎乗を続ける彼は、師匠の岡田調教師に初のGⅠタイトルをプレゼントできたことも含め、感慨を新たにしていた。

 6歳になって頂点を極めたテーオーロイヤルだが、単なる晩成ではなく、骨折で1年近くの休養を余儀なくされたり、レース中の事故に巻き込まれたりと、決して順調と言えるものではなかった。

 昨秋には休養明けのアルゼンチン共和国杯(GⅡ)で10着に大敗したが、レース勘を取り戻した彼はステイヤーとしてのポテンシャルの高さを発揮し、続くステイヤーズステークス(GⅡ、中山・芝3600m)で2着に健闘。今年に入ってからは、ダイヤモンドステークス(GⅢ、東京・芝3400m)と阪神大賞典(GⅡ、阪神・芝3000m)を連勝。なかでも後者では、2着に5馬身差を付ける楽勝で、走力のフェーズがそれまでよりひとつ上がったことを感じさせる強い内容だった。

 6歳とはいえ、キャリアは18戦とそれほど多くはなく、まだ伸びる余地も十分あると思われるテーオーロイヤル。小笹公也オーナーは「検疫の都合などがあるとは思いますが、メルボルンカップ(豪GⅠ、フレミントン・芝3200m)も視野に入れたいですね」と語り、この圧勝劇をステップに海外遠征へ結び付けたい意向を示した。
 
 デビュー以来堅実な走りを続け、今年1月の日経新春杯(GⅡ、京都・芝2400m)の優勝で注目を集めるようになったブローザホーンは、持ち味である末脚の切れを活かし、GⅠ初挑戦ながら2着に健闘した。エピファネイア産駒らしい気性の難しさはあるものの、好意で競馬ができれば、ビッグレースでの一発が期待できそうだ。

 3着のディープボンドには、本当に頭が下がる思いだ。7歳になった今年は上位争いが厳しいのではないかと安易に疑った筆者の浅知恵が恥ずかしい。シルバーコレクター、ブロンズコレクターとも呼ばれたランニングフリー、ナイスネイチャなどと同様に”名脇役”となったいま、これからも元気に走り続けてくれるよう願っている。

 さて、どう捉えていいのか悩まされるのは上位人気に推されたタスティエーラ、ドゥレッツァの2頭である。

「今年の明け4歳のレベルには疑問が残る」という意見は早くから囁かれてきた。しかし筆者は、まだ伸びしろがあると思われる段階でのそうした判断には与してこなかったが、今回の結果を見ると、残念ながら「世代間格差」を認めざるを得ない頃合いかと感じている。他の世代にまったく歯が立たないとは思わないが、大舞台では評価を一段階割り引く必要があるのが現実だろう。

取材・文●三好達彦

【動画】6歳の上がり馬・テーオーロイヤルが長距離重賞3連勝で春の盾を制す!
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