次にヤマハの戦略という視点で考えると、ライバルメーカー、特にドゥカティへの先制パンチという意味合いが見えてくる。ドゥカティが次のエースライダーとしてビニャーレスの起用を検討していたということはパドックでは周知の事実となっており、クアルタラロに関しても狙いを定めているという噂が流れていた。19年にアレックス・リンスが2勝し、着実に戦闘力を上げているスズキもかつて在籍していたビニャーレスの動向に注目していたようだが、他のメーカーと比べて予算規模が小さいだけに争奪戦に参入することはあまりリアルではなかっただろう。
またこれは憶測に過ぎないが、昨年引退したロレンソが仮に現役復帰を望んだ場合、ゼネラルディレクターを務めるジジ・ダッリーニャと良好な関係にあるドゥカティからの参戦も考えられたが、テストライダーとして囲い込むことでその可能性を狭めることができる。
ロレンソは17~18年にドゥカティで走ったが、当初は昨年のホンダと同様にヤマハとのマシン特性の違いに戸惑い、リザルトも芳しくなかった。しかし、18年にタンクパッドの形状変更等でマシンを自分のものにすると2連勝を含む計3勝を挙げ、全盛時を思わせる速さを見せていた。
上記のようにロッシの周囲では様々な情報が錯綜しているが、自ら「今年の目標は競争力をつけ、MotoGPライダーとして2021年もキャリアを続けること」と語るように21年以降の未来は自分自身のパフォーマンス次第。ロッシの進退をかけた新シーズンが、2月2日セパンで始まる。
文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super
またこれは憶測に過ぎないが、昨年引退したロレンソが仮に現役復帰を望んだ場合、ゼネラルディレクターを務めるジジ・ダッリーニャと良好な関係にあるドゥカティからの参戦も考えられたが、テストライダーとして囲い込むことでその可能性を狭めることができる。
ロレンソは17~18年にドゥカティで走ったが、当初は昨年のホンダと同様にヤマハとのマシン特性の違いに戸惑い、リザルトも芳しくなかった。しかし、18年にタンクパッドの形状変更等でマシンを自分のものにすると2連勝を含む計3勝を挙げ、全盛時を思わせる速さを見せていた。
上記のようにロッシの周囲では様々な情報が錯綜しているが、自ら「今年の目標は競争力をつけ、MotoGPライダーとして2021年もキャリアを続けること」と語るように21年以降の未来は自分自身のパフォーマンス次第。ロッシの進退をかけた新シーズンが、2月2日セパンで始まる。
文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super