レース後、殊勲の騎手は「まだ４歳ですし、体も精神状態も若いので、今後成長してくればもっといい馬になると思います」とコメント。ヘデントールは凱旋門賞（仏Ｇ１）への登録を済ませているが、今後のプランは未定。まだまだ伸びしろがありそうな血統背景を持つだけに、進路の決定を楽しみに待ちたい。

　惜しい２着となったビザンチンドリームは、腹を決めて後方で脚をためたシュタルケ騎手のアシストを受けて上がり最速の切れ味を繰り出し、ストロングポイントを出し切った。２月のサウジアラビア遠征でレッドシーターフハンデ（Ｇ２、芝3000ｍ）を制しているが、環境の変化を経験させてこそ持ち得たタフさが活きているように感じさせる一戦でもあった。ちなみに本馬も昨年の菊花賞組で、勝ち馬から０秒５差の５着に入っている。

　３着のショウナンラプンタは２着から３馬身、４着のサンライズアースはさらに２馬身差が付いており、上位とはやや力の差があったようだ。
  　しかし一方で、６着となったジャスティンパレスについては、その敗因に関して上位との能力差よりも、大きな疑問符が付くレース運びにあったのではないかと断じざるをえない。

　仮に出遅れは仕方ないとしても、２周目の第３コーナー手前から坂の上りで強引にまくって出るのは自ら敗戦を招き入れる行為に近い。この位置から動いて勝ったのは菊花賞のミスターシービー（1983年）や、天皇賞（春）のディープインパクト（2006年）ぐらいしか記憶になく、歴史的名馬レベルに傑出した存在でしか成し得ていない荒業だ。ジャスティンパレスを貶める気はないが、標準的な強豪と考えられる本馬に強引なレース運びを強いたのでは、最後に末脚をなくすのは自然な道理。非常に勿体ない結果だと感じた。

文●三好達彦

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