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ラグビー

【リーグワン】初のプレーオフで注目株の静岡ブルーレヴズ、W杯8強を経験した元代表コーチが語るFW陣の充実

向風見也

2025.05.16

ゴールデンウィークに行なわれた浦安DR戦では、ヤマハスタジアムに1万2000人以上の観衆を集めた。写真提供:JRLO

ゴールデンウィークに行なわれた浦安DR戦では、ヤマハスタジアムに1万2000人以上の観衆を集めた。写真提供:JRLO

 最近の長谷川は、同時並行で別な動きにも視線を送る。複数名でまとまるモール、走者とタックラーがぶつかった後のブレイクダウン、さらには空中戦のラインアウトだ。

 特に目を引くのがラインアウト。捕球役になるのは2列目のロックが多いだけに、現役時代に最前列のプロップだった長谷川が教えるのは珍しい。

 もっとも「慎さん」はもともと、時間をかけて映像を分析したり、世界からアイデアを採り入れたりするのが得意な人だ。
 
「悪い癖が出てきて、やり(熱中し)始めたら止まらない!」と笑いながら、捕球位置の選定、ジャンプやリフトのタイミングについて精度を高める。

「背が高いチームでも、ディフェンスの時にジャンパー、リフターがちゃんと揃って100パーセント(の出力)で飛んでいる時は少ない…。『(敵にとっての)大事なところ』から外れれば(キャッチできる)…。それを信じさせるための材料を揃え、提案し、迷いなく(捕球役)を上げさせたら、捕れるに決まっている。ラインアウトは、ラグビーのプレーのなかで一番(動きの)種類が多いんじゃないかな。…面白くなってきた。ロックよりも詳しくなってやろうと思っている」

 気心の知れたコーチンググループの一員として、パワー勝負に傾きがちなプレーの細部に着目している。

 将来的に国際舞台へ戻る希望はあるか。そう聞かれれば「(現行の)日本代表の邪魔はしたくない」とし、言葉を選ぶ。

「(スクラムで)『小さく固まって力を漏らさない』みたいなことは、別に俺だけじゃなくて日本人のプロップは昔からやっていた。ただ、(いまの代表チームでは)日本人のオリジナリティのある部門がなくなっているじゃない? もったいないな、もう1回チャレンジできるな、もうちょっと力をつけてラインアウトもできるようになって…とは思う。別に俺じゃなくてもいい。日本人が入って、一貫したものがあったほうがいいんじゃないかな…と」

 いずれにせよこの春は、藤井の大胆起用で厚くなったブルーレヴズの選手層を誇る。

 一般的に司令塔、トライゲッターに用いる「エース」の称号を、プロップのレギュラー陣に授けて語る。

「山下憲太と伊藤平一郎。人がどう見るかはわからないけど、俺は彼らを両エースだと思っているのね。今季はその両エースが(それぞれ一時的に怪我で)いないなか、他の人間が伸びた。全体的な底上げができた」

 東大阪市花園ラグビー場でのプレーオフ初戦では、コベルコ神戸スティーラーズとぶつかる。先発フォワードの平均身長は2.5センチも下回っているうえ、自分たちは「両エース」を不在とする。一体感と緻密さで勝つチャンスだ。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)

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