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東京五輪の注目株!ハンド日本代表の21歳、部井久アダム勇樹が抱く野望

松尾祐希

2020.07.17

高校卒業後は、フランスリーグに挑戦。

高校卒業後は、フランスリーグに挑戦。

 代表で新たな刺激を貰うと、卒業後は高校時代の恩師から助言を受けてフランスリーグ、“セッソン・レンヌ・メトロポールHB”のセカンドチームに入団。言葉が通じない異国のひとり暮らしは苦労の連続だったが、新たな挑戦が自身をさらに強くさせた。

「海外は個人が集まった上でひとつの集団になっていて、我の強さも大事だと気付かされました。最初は現地の言葉をなかなか喋れなくて、自分の意見は持っていても言えなかったんです。その一方で、日本での経験は無駄になりませんでした。真面目にトレーニングを続ける姿勢が生きたからです。追い込む時期には少しのアクシデントで練習から外れる選手もかなりいたのですが、僕は絶対に逃げ出しませんでした。やっぱり、できないと思われるのが悔しい。そこは愚直に取り組む日本人の良さが出ましたよね」
 
 渡仏後はフィジカルの強化に励み、体重が高校時代から20キロほどアップ。特に太ももは一回り以上大きくなり、渡仏当初に買ったジーンズは履けなくなった。レンヌのトップチームで多くの試合に出場できたわけではないが、真面目な気質が成長をさらに加速させた。

 挑戦を続け、幼い頃から描いてきたオリンピック出場が現実的になってきた。だが、部井久は現状に満足していない。新型コロナウイルスの影響で今夏から活動の拠点を国内に移したのも、東京五輪の開催延期も、彼にとってはネガティブな材料ではない。「もっと強くなって大会に挑める」。自分を成長させる時間を多く得られたからだ。

「オリンピックは小学校の時にタレント発掘事業に参加してから、ずっと夢に見ていた舞台。今までの成果を出す最高の大会で、お世話になった人に恩を返せる場でもあります。出場するだけではなく、東京五輪で活躍する。頑張ってきた自分へのご褒美ぐらいの感覚で楽しんだ上で結果を残したい」

 幼い頃から常にチャレンジし、自らの力で道を切り開いてきた。来夏の大舞台まで約1年。待ち焦がれた夢の舞台は誰にも譲れない。部井久は日の丸を背負うためにもっと強くなる。

取材・文●松尾祐希

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