［アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ］
#41 アレイシ・エスパルガロ
#32 ロレンツォ・サバドーリ

　グレシーニング・レーシングとのパートナーシップが2021年いっぱいで終了するアプリリア。2月後半にはチームマネージャーでオーナーのファウスト・グレシーニを新型コロナウイルス感染症で失うという悲劇も起こった。

　プレシーズンテスト初日には、その悲しみを吹き飛ばすかのようにエースのエスパルガロがトップタイムをマーク。総合でも6番手に食い込んだ。完全新設計となるV4エンジンを積んで臨んだ1年前もテストでは好調だったが、いざシーズンが始まるとRS-GPの信頼性不足も影響し、シングルフィニッシュ2回に終わった。しかし、エンジンがパワーアップし、進化したエアロパッケージを備え、カーボン製のスイングアームを装着した今季は、本当にダークホースになり得るかもしれない。
  　1番時計を天に旅立ったボスに捧げたスパニッシュは「（新型フェアリングの効果により）ダウンフォースが増したことでトップスピードが少しだけ落ち、身体への負担も増えたけど、加速が良くなり、コーナーでの挙動も安定している」とニューマシンを解説。「今年こそトップグループと戦うことができるよ！」と興奮気味に話す。

　参戦する6メーカーの中で唯一、シーズン中も開発を進められるコンセッション（優遇措置）が適用されることも好材料だ。

　昨年、CIV（イタリア選手権）のスーパーバイククラスのタイトルを獲得し、抜擢されたロレンツォ・サバドーリに関しては、財政状況により同じマシンを2台用意できないチームの事情もあり、あまり多くを期待できない。

　ドゥカティを離脱したドヴィツィオーゾが4月にRS-GPをテストするという情報が入り、話題を呼んでいるが、もしイタリア・ノアーレのメーカーと継続的に関係を持つようだったら開発において大きな力となることだろう。

文●甘利隆
著者プロフィール／東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter：ama_super