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モータースポーツ

【MotoGP開幕直前展望|ホンダ・KTM編】マルク・マルケスが開幕2戦を欠場。優遇措置を失ったKTMは思わぬ苦戦も?

THE DIGEST編集部

2021.03.25

既に2度優勝経験のあるベテランライダー、ダニーロ・ペトルッチ。(C)Getty Images

既に2度優勝経験のあるベテランライダー、ダニーロ・ペトルッチ。(C)Getty Images

 昨シーズン、3勝を含む9度の表彰台を獲得したことから、KTMは開幕後も開発を進められるコンセッション(優遇措置)を失った。新型コロナウイルスによる経済的影響で、コンセッションが適用されないメーカーは2020年型のエンジンを継続使用することに決まっていたが、適用メーカーと適用されないメーカーでは使用できるエンジン基数が異なるため(コンセッション適用メーカーの方が多い)、これまで対象だったKTMは「耐久性に懸念がある」と訴え、特別にシーズンオフの開発が許されていた。他メーカーはKTMが大幅にパワーアップした“スーパーエンジン”を持ち込むのでは? との疑念を抱いていたが、オーストリアのメーカーは特例の趣旨に則り、大きな変更は加えてこなかった模様だ。

 レース前、事前にテストライダーのダニ・ペドロサがベースセッティングを出していたことも躍進の要因だと考えられているが、コンセッションが適用されないチームはテストの回数なども制限されるため、サーキットによっては意外な苦戦を強いられるかもしれない。
 
[テック3・KTM・ファクトリー・レーシング]
#9 ダニーロ・ペトルッチ
#27 イケル・レクオーナ

 2019年からKTMのサテライトとして活動するフランス・チームは、ドゥカティ・ファクトリーから移籍してきた30歳のペトルッチ、フル参戦2年目となる21歳のレクオーナを起用する。

“ペトルックス”の愛称で親しまれるベテランは、プレシーズンテストのベストタイムがトップから約1.7秒差の総合19番手とまだ存在感を示すには至っていないが、「もちろん道は長く、もう少しKTMのバイクについて理解する必要があるが、できるだけ早く競争力を発揮したい」と意欲を見せている。

 チーム代表のエルベ・ポンシャラルも「ダニーロはすでに2回優勝しているライダーだからね」とあまり心配はしていないようだ。

 雨にたたられた昨年のフランスGPで優勝したようにウェットコンディションに強く、悪天候に見舞われたレースでは思わぬ伏兵となるだろう。

 新型コロナウイルスに感染し、昨シーズンのラスト3戦を欠場したスペインの若手は、もう少し周囲にスピードを印象付けたい。ポンシャラルは「イケールはもはやルーキーではないし、私たちは信頼し合っている」と期待するが、契約期間は2021年いっぱいとなっている。昨年もMoto2降格が噂され、また、KTMの息がかかった有望な若手ライダーがMoto2クラスに控えているため、インパクトのある活躍をしなければシートを失うことにもなりかねない。とりあえず、シングルフィニッシュの常連になることが現実的な目標となる。

文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super
 

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