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食と体調管理

「やらなきゃ後悔するようなことは、まずやってみる」元スピードスケート日本代表・髙木菜那さんの競技への信念と食事への取り組み方

矢内由美子

2022.11.01

写真:GettyImages

写真:GettyImages

■人生を変えた2つの金メダル

――髙木さんはオリンピック以外にもチームパシュートで何度も世界大会の金メダルを手にしています。その中で、2015年2月の世界距離別選手権で獲得した金メダルはスケート人生の中で大きな成果だったのではないでしょうか。

 あれは大きかったですね。なぜならソチオリンピックの時の日本チームはボロボロで、トップ3には全然かなわなかったですから。

 オリンピックの翌年というのは少しリラックスして大会に臨む選手や国もあるのですが、それでもやっぱり世界距離別選手権で優勝して表彰台に立てたのは、すごく嬉しいことでしたし、自信の足がかりになりました。平昌オリンピック、北京オリンピックへと続いていく私たちのチームパシュートは、2015年の世界選手権から始まったと思います。

――平昌オリンピックのチームパシュートは日本中から期待されての金メダル。プレッシャーはありましたか。

 平昌オリンピックのシーズンは、オリンピックまでのワールドカップで出場した全レースで世界記録を出して優勝していました。ですから周りからの期待は大きかったですが、私たちメンバーにとってオリンピックの金メダルはまだ取ったことがないもの。期待というより挑戦という気持ちの方が強かったですね。

 ただ、2015年世界距離別選手権で金メダルを獲ってからはナショナルチーム全員で本気で金メダルを目指していたので、さすがに本番レースが近づくと前夜から緊張が高まって、それまで経験したことのないような精神状態になりました。

 私自身は自分でも“どうしてこんなに喋っているんだろう”と思うほど喋り続けていましたし、チームの中にはすっかり無口になった選手もいました。人は過度に緊張するとこんな風になるのだなと思いましたね。
 

写真:GettyImages
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――平昌オリンピックではチームパシュートとマススタートで金メダル2つを獲得しました。これは髙木さんの人生においてどんな意味を持つでしょうか。

 やっぱり人生を変えたと思います。金メダルを2つ取っていなかったら、絶対に妻夫木聡さんに会えていないですよ(笑)。(※テレビ番組の企画でずっとファンだった妻夫木さんと対面)

 やっぱり、金メダルは認知度を上げてくれます。それと、チームパシュートの選手の認知度が上がったのは、日本のスピードスケート勢全体が頑張ってメダルをたくさん取ったことも理由だと思います。金メダルは私がスケート人生を頑張ってきたことへのご褒美。金メダルはいろんな人を笑顔にしてくれるものだなと思いました。

――北京オリンピックは大会に向かう前から「集大成」とおっしゃっていました。注目されている状況で重圧はありませんでしたか?

 私の中では、期待というのはプレッシャーに変わったり、背負ったりするものではありません。そう考えるのは両親の私への接し方が影響していると思います。

 やっぱり子供の頃は、親の期待を無意識に背負ってしまう子供もいると思うんです。応援してもらってるからこそ頑張らなきゃと思う人もたくさんいると思います。

 けれども私は、応援されているから頑張らなきゃ、とは思ったことがなく、いつも自分で結果が残したくて頑張ってきました。

 自分で結果を求めて頑張っていることに対して「頑張ってね」と言われるのはうれしいこと。期待は力に変えるものだと思います。
 

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