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【エリザベス女王杯】三冠牝馬を”切る”という決断もあり!? 11年ぶり参戦の外国馬は日本特有の『高速馬場』克服が勝敗のカギ

三好達彦

2022.11.13

 その他で、押さえておきたい馬も多数いる。

 ピンハイ(牝3歳/栗東・田中克典厩舎)は、川田将雅騎手に乗り替わった西宮ステークス(3勝クラス、阪神・芝1800m)を完勝して勢いは十分。イズジョーノキセキ(牝5歳/栗東・石坂公一厩舎)は、人気薄だった前走の府中牝馬ステークス(GⅡ、東京・芝1800m)を後方一気の追い込みで制した。あの末脚は要警戒だろう。牡馬相手に重賞2勝を挙げているウインマリリン(牝5歳/美浦・手塚貴久厩舎)も地力は侮れず、この3頭らを押さえで挙げておく。

 そして、英・愛オークス馬のスノーフェアリーが衝撃的な連覇(2010・11年)を果たして以来、実に11年ぶりの参戦となる海外調教馬で、今年の愛オークス(GⅠ、カラ・芝12ハロン=約2414m)の勝ち馬であるマジカルラグーン(牝3歳/愛/J・ハリントン厩舎)に触れないわけにはいくまい。
 
 マジカルラグーンは、キング・ジョージ6世&クイーン・エリザベスステークスなど欧州GⅠを3勝し、引退後は日本で種牡馬入りしたノヴェリスト(父モンズーン)の半妹。父はガリレオで、こちらも英・愛ダービーやキング・ジョージを制した世界的名馬だ。ガリレオは引退後、フランケル(14戦14勝。うちGⅠ10勝)という“怪物”を輩出したチャンピオンサイアーで、血統背景は申し分ない。

 ただし、外国馬を評価する際に必ずテーマとなる「日本のスピード馬場」への適性に関しては、やはり未知数という他ないだろう。一般的にガリレオ産駒はスタミナ型と言われることが多いが、海外調教馬には日本での競馬で一気にタイムを詰めてくる馬が少なくないからだ。

 例えばスノーフェアリーが初めてエリザベス女王杯を制した2010年11月。走破タイムは2分12秒5だったが、同年6月の英オークス(芝12ハロン6ヤード=約2420m、良)を制したときのタイムは2分35秒7と、両レースの間には比較しても意味がない程の質の違いがある。むしろ、馬場の軽重を問わず勝利を挙げた能力と、環境適応力の高さに感嘆するしかない。

 陣営はそれなりの馬場適性や勝算を見込んだ上で日本に遠征してきているだろうし、その点を汲んで「押さえ」の評価を献上しておく。

文●三好達彦

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