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ラグビー

雪の秩父宮に響いた田中史朗の「声」。歴戦のベテランが見据える新天地キヤノンの意識改革

吉田治良

2020.01.19

MVPを受賞した田中。キヤノン初勝利の立役者であったことに疑いの余地はない。写真:滝川敏之

MVPを受賞した田中。キヤノン初勝利の立役者であったことに疑いの余地はない。写真:滝川敏之

「後半は自分たちのやりたいゲームができていた」(クッツェーHC)

 モールが安定し、また風上に立ったことで、後半は田中と田村のキックも効果的に作用していただろう。

「フミさんが来て、やりやすくなった」

 日本代表の盟友の加入に刺激を受けた田村が、49分に糸を引くようなクロスキックパスでWTB山田聖也のトライを演出すると、難しい位置からのゴールキックも成功。これでキヤノンは17-15と再びスコアをひっくり返す。

 試合はその後、田村の2本のPGで加点したキヤノンが23-15で勝利。マン・オブ・ザ・マッチには田中が選ばれている。
 
「今日はFWに感謝ですね。彼らが身体を張ってスクラムもラインアウトのモールもやってくれましたから。マン・オブ・ザ・マッチも、本当はFWの選手がもらうべきなんですけど……たぶん、名前でもらえたのかな(笑)」

 試合後、いつもの穏やかな表情に戻って、そう謙遜した田中だが、抜群のリーダーシップを発揮した彼が、キヤノン初勝利の立役者であったことに疑いの余地はない。試合終了間際に田村が決めたトドメのPGも、相手ラックに猛然と突っ込み、ノットリリースザボールの反則を誘った田中の好判断によって獲得したものだった。

「タクシーで競技場に向かっている時、隣の野球場(神宮球場)でしか見たことがないようなお客さんの長い列を目にしたんです。こんなに寒い中、これほどたくさんの方に試合を観に来ていただいて、嶋田キャプテンとも『本当に嬉しいな、絶対に勝とうな』って話していたんです」

 この日、秩父宮に響き渡った田中の「声」と魂のこもったプレーは、寒空の下に集まった1万2913人のファンの心を、間違いなく熱くしたはずだ。

取材・文●吉田治良(スポーツライター)

 
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