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食と体調管理

「オリンピアンとして人の役に立ちたい」6大会連続出場のスノーボード・竹内智香がオリンピックから得た人生観と競技生活を支える食習慣

松原孝臣

2022.12.01

■オリンピアンとして人の役に立ちたい

--あらためてうかがっていると、メンタル的な強さを感じます。

 強いと思われていますが、決して強いわけではありません。人を頼ることだったり信頼している人に愚痴を言う勇気があったり。あとは自分の弱さを受け入れられるからであるように思います。

「人に頼る、甘える」を遠慮なくしていいんじゃないかと思います。

 メンタルが弱ければ弱いでいいと思うんです。持って生まれたものってそう簡単に変えられないし、無理して変えようとするよりできないと受け入れる大切さが大事ではないでしょうか。受け入れると、ほかの長所が補ってくれるように思います。

--6度目のオリンピック、北京大会が終わり、「7度目を」と期待を持つ人もいると思います。

 最近感じるのは、「行きたいです」と手を挙げれば行けるんだと周囲の方たちに思われているんじゃないかと(笑)。

 実際は生半可な気持ちで出られるものではないし、出場のための条件もあるので、簡単に「目指します」とは言えません。

 でも体を動かすこと、スノーボードをすることは大好きですし、体が動く限りは続けていきたいですね。ワールドカップも出られる限りは出たいです。積み重ねた先に世界選手権やオリンピックがあれば素晴らしいと思いますし、もしなくても、素晴らしい人生なんじゃないかと思います。

ーースポーツに励むジュニアアスリートへのアドバイスをお願いします

 良くも悪くも情報社会になっていて、小さな子でも身近にタブレットを持っているような時代になりました。それは決してネガティブなことではなく、SNSなどを通じて世界で何が起きているかを知るきっかけになると思います。

 大事なのは、そういったたくさんの情報から正しい知識を理解することが出来る人間になることだと思います。タブレットから得る情報だけではなく、実際に食べ物を食べてみたり、その国に行って現地の人々と触れ合うことで感じるもの、人間ならではの感覚が優れた人々が増えて、情報社会と融合できればより良い世界になると思います。

 スポーツで世界を目指すことを夢見る子供たちにとって、怪我などである日オリンピックがなくなってしまう、あるいは突然中止になってしまうことがあるかもしれません。

 だからオリンピック、スポーツだけが人生のすべてになってしまうのではなく、人生100年と言われる時代だからこそスポーツのみで生きていけるわけではないので、アンテナを広げて自分の可能性を広げていってほしいと思います。
 

--スノーボードの普及、育成等を行う「&tomoka」を2019年に始めています。どのような思いからスタートしたのでしょうか。

 スイスに渡ったときから、日本人にいい練習環境があれば、世界のトップに近づけるという思いがありました。その架け橋になろうと考えて始めました。

 加えて、コロナやオリンピックの延期がきっかけで最近感じるのは、オリンピックはスポーツの祭典、そうした楽しいことは世の中が平和で健康で初めてできるということです。人生のプラスアルファ、1つの娯楽だと思うからこそ、オリンピアンの価値はなんだろうと向き合うようになりました。

 その中で思ったのは、まず地域の人に「オリンピック選手がいてくれてよかったな」と思ってもらうのが1つのステップかなということです。そのため、町のトレーニングジムをよくしてもらったり、トレーナーが移住して町の健康寿命をアップさせたり、そういう取り組みをしています。

 そこから、オリンピックが自分たちの人生を豊かにしてくれる、健康にしてくれる起爆剤になっていると認識してもらえるようになるようにと思っています。オリンピアンであることにあぐらをかくのではなくオリンピアンがどう人の役に立つのか、何ができるのかを大切にしていきたいです。


<プロフィール>
竹内智香(たけうちともか)
1983年12月21日生まれ、165cm/62kg
北海道旭川市出身、クラーク記念国際高等学校卒業ー広島ガス所属

スノーボード・アルペンの第一人者として長年に渡り活躍。
高校3年生だった2002年にソルトレイクシティオリンピックに出場、以後2022年北京まで、日本女子史上最多の6回連続でオリンピックに出場。2014年ソチではスノーボード日本女子初の表彰台となる銀メダルを獲得。
 

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