■今後の目標
――オリンピックが終わって日本代表から引退されました。
ずっと前から決めていました。僕は自分の世界をハンドボールだけで捉えていないんです。セカンドキャリアも考えて、自分の人生をしっかりと捉えたい。
代表選手だと年中休みなくずっとハンドボールをやることになります。仮にパリオリンピックを目指すとして、体力はもちろんありましたし、トップでやっていける自信もあります。でもパリオリンピックで35歳になってしまう。それから代表を引退すると、もうハンドボーラーとしての引退もほぼ同時のタイミングになります。ハンドボールは35歳前後で引退する選手が多くいました。僕はセカンドキャリアを準備する期間がほとんどない状態で、ハンドボールやめたくなかった。だから代表を引退することで空いた時間を使って、ハンドボールの先の人生を今から構築して引退しようと考えました。
――現役時からセカンドキャリアを見据え、行動に移す選手は稀有です。
それはハンドボールがマイナー競技だからだと思います。例えば、メジャー競技で一生分稼げるような人であれば、今の僕のようなことは考えない。競技のことだけに集中してればいいんです。でも、僕はマイナー競技の選手だったからこそ、視野を広げることができた。誰も日本ハンドボール界を変えようとしていないことに気づき、自分で覚悟を決めて、いろんな人と出会って草の根活動をしてきました。
その過程で様々な人と出会って、そこに新しい楽しさもありました。そういう世界を見ることができたのは、ハンドボールがマイナー競技だったからです。
――その集客のための一つのアイデアがTikTokだったわけですが、こちらは今後も続けられるのでしょうか。
僕はずっとやってくつもりでいます。フォロワーが700万いるのですが、アンチがいないんです。みんなが僕の投稿を楽しんでくれますし、コメントをしてくれることが僕も楽しいし嬉しいですし、辞める理由がないです。何事も楽しむという意味では、自分にとってもうひとつの居場所になっています。
――マイナー競技であるがゆえに培われた知見を、これからのキャリアにどう活かされるか、目標を聞かせてください。
ハンドボールにおいては、今所属しているジークスター東京というチームで日本一を獲ることが最後の大きな目標です。人生においては、まずは引退した先の人生設計をしっかりとしなければいけません。その先にある大きな目標は、大好きな人達と一緒に幸せな日々を過ごすこと。できるだけ時間を作って、その時間を共有できる仲間と世界を見て周りたいです。
まだ未来ははっきりしていませんが、やりたいことがなくて悩んでいるのではなく、ありすぎて困っています。いろんなところに視野を向けてきた人生で、あらゆることに興味を持って、あらゆることを知りたいタイプなので、どの分野で行こうかと…。ただひとつ言えることは、何をやることになっても楽しく生きていくことに変わりはありません。
――最後に、高みを目指すジュニアアスリートたちにアドバイスをお願いします。
努力しないことです。もし今取り組んでいるスポーツを辛いと思っているとしたら、その時点であなたに向いていません。本当に夢中になれる対象を見つけてほしいですね。本当に夢中になれば、周りから見れば努力している姿も、本人にとっては楽しみでしかないはずです。そしていずれ必ず失敗することがありますが、その失敗すらもむしろ楽しみ、苦しい時ほど楽しむことができれば、おそらく成功すると思います。
©ZEEKSTAR TOKYO
土井 レミイ 杏利
1989年9月28日/千葉県出身
180cm/80kg
浦和学院高校-日本体育大学-シャンベリ・サヴォワ-シャルトルMHB28—大崎電気OSAKI OSOL-ジークスター東京
フランス人の父と日本人の母の間に生まれ、小学3年生の時にハンドボールを始める。全国でも屈指の強豪校である浦和学院高校へ進学し、大学は全国トップの日本体育大学へ。その後、膝の怪我をきっかけに大学卒業と同時に競技を引退。語学留学を目的にフランスへ渡るが、再びハンドボールの世界へ。フランス1部リーグに属するシャンベリ・サヴォワ・ハンドボールのセカンドチームの練習に参加。同チームはわずか数カ月でトップチームへ昇格し、これを機にプロ契約。その後、2019年シーズンまでの6シーズン、フランスで活躍。2019年7月より日本ハンドボールリーグに所属する『大崎電気OSAKI OSOL』にてプロ契約し2年間プレー後、2021年5月に現所属の『ジークスター東京』へ移籍。東京2020大会ではキャプテンを務めた。オリンピック後、現役日本代表を引退。ハンドボール以外では、多彩な才能を発揮し、ダンス・楽器演奏・マインドフルネスなど様々な趣味を持つ。さらに、ショートムービーアプリ『TikTok』では700万人を超えるフォロワーを持ち、TikTokクリエイターとしても注目を集めている。
取材・文:伊藤 亮
――オリンピックが終わって日本代表から引退されました。
ずっと前から決めていました。僕は自分の世界をハンドボールだけで捉えていないんです。セカンドキャリアも考えて、自分の人生をしっかりと捉えたい。
代表選手だと年中休みなくずっとハンドボールをやることになります。仮にパリオリンピックを目指すとして、体力はもちろんありましたし、トップでやっていける自信もあります。でもパリオリンピックで35歳になってしまう。それから代表を引退すると、もうハンドボーラーとしての引退もほぼ同時のタイミングになります。ハンドボールは35歳前後で引退する選手が多くいました。僕はセカンドキャリアを準備する期間がほとんどない状態で、ハンドボールやめたくなかった。だから代表を引退することで空いた時間を使って、ハンドボールの先の人生を今から構築して引退しようと考えました。
――現役時からセカンドキャリアを見据え、行動に移す選手は稀有です。
それはハンドボールがマイナー競技だからだと思います。例えば、メジャー競技で一生分稼げるような人であれば、今の僕のようなことは考えない。競技のことだけに集中してればいいんです。でも、僕はマイナー競技の選手だったからこそ、視野を広げることができた。誰も日本ハンドボール界を変えようとしていないことに気づき、自分で覚悟を決めて、いろんな人と出会って草の根活動をしてきました。
その過程で様々な人と出会って、そこに新しい楽しさもありました。そういう世界を見ることができたのは、ハンドボールがマイナー競技だったからです。
――その集客のための一つのアイデアがTikTokだったわけですが、こちらは今後も続けられるのでしょうか。
僕はずっとやってくつもりでいます。フォロワーが700万いるのですが、アンチがいないんです。みんなが僕の投稿を楽しんでくれますし、コメントをしてくれることが僕も楽しいし嬉しいですし、辞める理由がないです。何事も楽しむという意味では、自分にとってもうひとつの居場所になっています。
――マイナー競技であるがゆえに培われた知見を、これからのキャリアにどう活かされるか、目標を聞かせてください。
ハンドボールにおいては、今所属しているジークスター東京というチームで日本一を獲ることが最後の大きな目標です。人生においては、まずは引退した先の人生設計をしっかりとしなければいけません。その先にある大きな目標は、大好きな人達と一緒に幸せな日々を過ごすこと。できるだけ時間を作って、その時間を共有できる仲間と世界を見て周りたいです。
まだ未来ははっきりしていませんが、やりたいことがなくて悩んでいるのではなく、ありすぎて困っています。いろんなところに視野を向けてきた人生で、あらゆることに興味を持って、あらゆることを知りたいタイプなので、どの分野で行こうかと…。ただひとつ言えることは、何をやることになっても楽しく生きていくことに変わりはありません。
――最後に、高みを目指すジュニアアスリートたちにアドバイスをお願いします。
努力しないことです。もし今取り組んでいるスポーツを辛いと思っているとしたら、その時点であなたに向いていません。本当に夢中になれる対象を見つけてほしいですね。本当に夢中になれば、周りから見れば努力している姿も、本人にとっては楽しみでしかないはずです。そしていずれ必ず失敗することがありますが、その失敗すらもむしろ楽しみ、苦しい時ほど楽しむことができれば、おそらく成功すると思います。
©ZEEKSTAR TOKYO
土井 レミイ 杏利
1989年9月28日/千葉県出身
180cm/80kg
浦和学院高校-日本体育大学-シャンベリ・サヴォワ-シャルトルMHB28—大崎電気OSAKI OSOL-ジークスター東京
フランス人の父と日本人の母の間に生まれ、小学3年生の時にハンドボールを始める。全国でも屈指の強豪校である浦和学院高校へ進学し、大学は全国トップの日本体育大学へ。その後、膝の怪我をきっかけに大学卒業と同時に競技を引退。語学留学を目的にフランスへ渡るが、再びハンドボールの世界へ。フランス1部リーグに属するシャンベリ・サヴォワ・ハンドボールのセカンドチームの練習に参加。同チームはわずか数カ月でトップチームへ昇格し、これを機にプロ契約。その後、2019年シーズンまでの6シーズン、フランスで活躍。2019年7月より日本ハンドボールリーグに所属する『大崎電気OSAKI OSOL』にてプロ契約し2年間プレー後、2021年5月に現所属の『ジークスター東京』へ移籍。東京2020大会ではキャプテンを務めた。オリンピック後、現役日本代表を引退。ハンドボール以外では、多彩な才能を発揮し、ダンス・楽器演奏・マインドフルネスなど様々な趣味を持つ。さらに、ショートムービーアプリ『TikTok』では700万人を超えるフォロワーを持ち、TikTokクリエイターとしても注目を集めている。
取材・文:伊藤 亮