専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外サッカー

長谷部誠や遠藤航ら日本人はなぜドイツで評価されるのか? カギは「言われたことばかりやる選手」からの成長【現地発】

THE DIGEST編集部

2022.08.17

原口、長谷部、そして遠藤。彼らは所属クラブで絶対的な信頼を勝ち得ている。彼らがドイツで声価を高める理由は何なのか。(C)Getty Images

原口、長谷部、そして遠藤。彼らは所属クラブで絶対的な信頼を勝ち得ている。彼らがドイツで声価を高める理由は何なのか。(C)Getty Images

 ドイツで活躍を見せる日本人選手が増えてきている。まずは現在、ブンデスリーガとブンデスリーガ2部に所属している選手を見てもらおう(カッコ内は昨季のチーム順位)。

【ブンデスリーガ】
ウニオン(5位) 原口元気
フライブルク(6位) 堂安律
フランクフルト(11位) 長谷部誠、鎌田大地
ボルシアMG(13位) 板倉滉
シュツットガルト(15位) 遠藤航、伊東洋輝
シャルケ(2部1位) 吉田麻也

【ブンデスリーガ2部】
ビーレフェルト(1部17位) 奥川雅也
デュッセルドルフ(2部5位) 田中碧、アペルカンプ真大、内野貴史
ハノーファー(2部14位) 室屋成
マグデブルク(3部1位) 伊藤達也

 遠藤と伊藤は昨季から名門シュツットガルトで不動のレギュラーに。鎌田や原口も欠かせない戦力として活躍。今季から新天地を求めた堂安と板倉も移籍直後からレギュラーポジションを獲得しており、吉田に至っては第3キャプテンだ。38歳となる長谷部も今年2月に2027年6月までの延長契約を締結。今でも堂々たるプレーぶりを見せている。

 2部でも日本人選手の活躍は顕著だ。奥川は攻撃の切り札であり、田中はチームの主軸。チーム生え抜きでもあるアペルカンプはクラブの期待を背負っている。

 また、最近ではシュツットガルトU-23に尚志高から入団したチェイス・アンリに加え、岡田玲、そしてマインツU-23には水多海斗がそれぞれ所属。とりわけ水多はプレシーズンの多くをトップチームで過ごし、合宿にも同行。試合にも出場してアピールの機会を得た。
 
 シュツットガルトのようにセカンドチームのあり方を見つめ直したチームは少なくない。将来的にトップチームでデビューしうる資質を持った選手を中心に選手を集めている彼らが獲得したという事実は、選手への確かな評価を物語っている。

 では、日本人のどこをドイツ人指導者たちは評価しているのだろう。よく耳にするのは、『ハードワークは当たり前』『チームのために全力を尽くす』『学習意欲が高く、学習能力も高い』『プロフェッショナルな姿勢』だ。

 ただ、以前までは、そうした気質と実際にピッチ上で見せるプレーとの間に開きがあったのも確かだった。

 一時期、ドイツの指導現場における日本人選手の評価は「技術レベルは高いけど実践向きではない」という声が少なからずあった。いや、訂正しよう。ほとんどがそうだった。実際、指導者仲間でもある元ドイツ代表DFのルーカス・シンキビッツは、僕にこう漏らしていた。

「日本人は育成をよくしすぎている。でも、言われたことしかやらない選手ばかりになっていないか?」

 監督が「A」という指示を出したら「A」をやる。でもそれは「B」をやるなというわけではない。試合の流れや状況に応じて、持ち場を離れてでも対処しなければならないプレーが必要になる局面はある。

 日本人的に黙って、文句を言わず取り組んでいくという姿勢が、欧州の指導者や選手には違和感となっていたのは否めない。そうした「それは自然と身についていることだよね?」という誤解が生じてしまったがために、本領発揮ができないままヨーロッパを去る選手もいたはずだ。
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号