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高校野球

【甲子園】あらゆる点で隙のない野球、チーム一丸となっての戦い――横浜が昭和、平成に続いて令和の夏も制覇か<SLUGGER>

氏原英明

2025.08.19

史上2校目の春夏連覇を目指す横浜。準々決勝では県岐阜商と激突する。写真:THE DIGEST写真部

史上2校目の春夏連覇を目指す横浜。準々決勝では県岐阜商と激突する。写真:THE DIGEST写真部

「格別な一日」――指揮官は確かにそう言った。

 センバツ覇者の横浜が順当にベスト8進出を果たした。2年生右腕・織田翔希がここまで3試合に登板して23.2回無失点の活躍を見せ、打線も3試合で13得点と完璧な試合運びを見せている。

「あと3つで優勝というのはあまり頭になくて、一戦必勝で戦って行きたいなと思います」

 主将の阿部葉太はそう話す。

 今年の横浜の強さは、個々のポテンシャルの高さだけではない。中学時代の有望な選手が集まってきているのは間違いないが、例えば「タレント集団」と呼ばれることが多い大阪桐蔭とは別のチーム作りをしているのが横浜だ。

 これまで筒香嘉智(DeNA)、近藤健介(ソフトバンク)、若い世代では万波中正(日本ハム)などあらゆるポジションのプロ野球選手を輩出している横浜。だが真の凄さは、そうした一流選手を輩出する一方で、あらゆる戦術・戦略を網羅し、その完成度を高めている点にある。

 バント処理、カバーリング、投内連携、挟殺などから走塁面に至るまで、プロ野球選手になれば絶対に必要と言われる要素はすべて身につけさせる。言わば、横浜の戦いには隙がない。かつて、渡辺元智監督・小倉清一郎部長体制で築き上げた文化が今も根付いているのだ。

 村田浩明監督は言う。
「野球は考えれば考えるほどいろんな作戦がありますよね。それを追求してきたのが横浜高校の、渡辺監督、小倉コーチが作られてきた野球で、私もそれを学んできました。そのいいところは継承して、変えていかなきゃいけないというところは変えるという考えの中で取り組んでいます」

 2回戦の綾羽戦は1回に先制される苦しい展開だった。強豪を相手に挑んでくるチャレンジャーを受けて立った印象だった。先発投手も左打者が多い横浜打線を強く意識したもので、序盤は相手に主導権を握られる展開だった。

 だが、5回裏に四球から好機をつかむと、この日は途中出場していた織田翔希が中前安打を放って同点に追いついた。そして、6回裏には相手投手が2連続死球で乱れ、5番の小野舜友が送りバント。しかし、焦った相手投手が三塁へ悪送球。よくあるミスではあるが、左翼手のカバーリングが遅いと見るや、何と横浜は一塁走者まで本塁へ返ってきたのだった。

 前半を1対1と上々の試合展開に手応えを感じていた綾羽の捕手・山本迅一郎は、ここに横浜の強さを感じたと次のように話した。

「相手はセンバツで優勝していて、僕らは初出場なんで、失うものはないと思いきってプレーしていた。でも、僕たちのちょっとのエラーでもランナーが二塁から返ってきたり、隙がないなと感じました。エラーがなかったら後半は粘り強くいけたんじゃないかなと思いますし、でも、やはり走塁の隙のなさはさすがだなと思いました」
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