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MLB

【ツインズの「未来予想図」】メジャー最強の強力打線は今季も健在。コーチの指導力確保が強さを維持するカギ

出野哲也

2020.07.25

昨季メジャー史上最多の307本塁打を放った強力打線には、15年MVPのドナルドソンが加入した。(C)Getty Images

昨季メジャー史上最多の307本塁打を放った強力打線には、15年MVPのドナルドソンが加入した。(C)Getty Images

 いよいよ2020年のシーズンが幕を開ける。だが、各チームの編成トップは常に未来を見据えている。主力選手の契約状況やマイナーでの若手選手の育成状況も考慮しながら、ツインズの未来を展望してみよう。

 昨季は9年ぶりの地区優勝を果たしただけでなく、実に54年ぶりとなる100勝、打線はメジャー新記録となる307本塁打を量産した。そこからCJ・クロンとジョナサン・スコープ(2人ともタイガースへ移籍)が抜けたが、その穴は37本塁打を放ったジョシュ・ドナルドソン三塁手の加入によって埋めた。投手陣も前田健太やリッチ・ヒルの加入などで先発の層が厚みを増し、引き続き地区優勝候補の筆頭だ。

 34歳のドナルドソンに4年9200万ドル(約44億9400万円)を奮発したのはリスキーだが、強力打線を形成するミゲル・サノー、マックス・ケプラー、ホーヘイ・ポランコら野手や、前田は実力に比して安価な契約が少なくとも23年まで続く。今季年俸が1000万ドル(約10億7000万円)を超えているのも、ドナルドソンを除くと1年契約のネルソン・クルーズ外野手とジェイク・オドリッジ投手だけで、市場規模が大きくない球団の背丈に見合った経営状態になっている。
 
 また、前田との交換で右腕ブルスター・グラテロルを手放してもなお、MLB.comのランキングでトップ100に入った有望株が3人残っている。そのうち、ロイス・ルイス内野手とアレックス・キリーロフ外野手は今季メジャーデビュー予定で、強力打線は引き続きチームの看板となりそうだ。

 球団躍進の一因として挙げられるのは指導力の高さ。突如として本塁打数が増えたのも、打撃コーチ/インストラクターを務めたジェームズ・ロウソンとルディ・ヘルナンデスの指導で、ポランコやミッチ・ガーバー捕手の打撃が急成長したからだった。

 また、ガーバーは「クオリティコントロール・コーチ&捕手コーディネーター」という肩書を持つタナー・スワンソンの指導でフレーミングも改善され、投手陣は大学球界出身のウェス・ジョンソン投手コーチが底上げに成功した。驚くべきは、この4人は選手としてメジャー経験がないどころか、スワンソンとジョンソンはプロ経験でさえなかったこと。このように、有能な指導者を発掘できる点は、チームの目に見えない強みになっている。

 ロウソンはレイズ、スワンソンはヤンキースと他球団に引き抜かれてしまったが、引き続き指導力に秀でたコーチを抜擢し、選手の能力を引き出すことができれば、今後も競争力を維持できるはずだ。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
 

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