ヤンキース対レッドソックスといえば、MLBのみにとどまらず、アメリカスポーツ界でも屈指のライバル対決。近年はやや盛り上がりに欠けていた両軍の対決が、あるルーキー右腕の発言をきっかけに再びヒートアップしそうな気配を見せている。

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“主人公”は今年４月にデビューしたばかりのレッドソックスの先発右腕ハンター・ドビンス。現在25歳のドビンスは、テキサス州の出身ながら父の影響もあって熱狂的なレッドソックスファンとして育った。

　そんなこともあってか、６月８日のヤンキー・スタジアムでのヤンキース戦に先発登板が決まった時は、気合がみなぎりすぎたか、次のような発言を口走ってしまった。

「前にも言ったことがあるけど、ヤンキースからしか契約のオファーがなかったら俺は引退する」

　この発言にレッドソックスファンは快哉を叫び、ヤンキースファンは

　果たして８日の登板、ドビンスは初回にいきなりアーロン・ジャッジに豪快な一発を被弾。ヤンキー・スタジアムのファンはそれみたことかとばかりにドビンスに罵声を浴びせた。
  　しかし、その後立ち直ったドビンスは５回３失点にまとめて４月18日以来のメジャー通算３勝目を挙げた。そして迎えた13日、フェンウェイ・パークでヤンキースと再戦したドビンスは、今度は６回２安打無失点の快投。チームも４対２勝利し、「俺たちのドビンス」とばかり、ボストンの熱狂的なファンから大声援を浴びた。

　実は、ドビンスの発言にはサイドストーリーがある。この時、ドビンスはかつて父がダイヤモンドバック傘下のマイナーに所属していたこと、元ヤンキースの名投手アンディ・ペティットと友人だったことなども併せて語っていたのだが、調査の結果、ドビンスの父は独立リーグでは投げていたが、マイナー在籍の事実などはなかったことが判明したのだ。

　思わぬ形で父の“経歴詐称”が明らかになドビンスだが、「小さい頃からずっと聞いてきた話だ。自分の父親の話をわざわざファクトチェックなんかしない」ときっぱり。レッドソックスを愛し、ヤンキースを憎み、父を守る。ドビンスは今やボストンの全父親にとっての“理想の息子”と言えるのではないだろうか。

構成●SLUGGER編集部

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