人気エンタメ球団サバンナ・バナナズの勢いが凄まじい。“バナナ・ボール”という新機軸のベースボールを開発した彼らは、2023年からは全米各地でエキシビション・ゲームとして80試合以上を開催。どこもチケットは即完売で、ウェイティングリストは数十万人規模に上るという。
【記事】前身は大学の夏季リーグで借金180万ドルからのスタート...エンタメ球団サバンナ・バナナズが全米規模の人気を誇るまで<SLUGGER>
今年4月26日にはネブラスカ大のアメフト用スタジアムで8万1000人というバナナズ史上最多の単日観客数を記録。さらに6月6~7日にはノースカロライナ州シャーロットのNFL兼MLSのスタジアムで計14万8千人を集めて史上最多の週末動員数を記録した。現地メディアによると、両日とも5時間以内で完売。その他、エンジェル・スタジアムやフェンウェイ・パークなど、MLB球団の本拠地でも試合を開催し、“本家”顔負けの観客動員を記録している。
大人気の理由は、老若男女が楽しめる最高のエンタメに昇華しているからだろう。バナナ・ボールはゲーム中、投球前の投手が二遊間の選手といきなり踊り出して打者を幻惑したり、審判までもがバック転を決めてコールしたり、竹馬に乗った3メートル超の選手が投打の二刀流で活躍したり、選手が燃えるバットを持って打席に立ったり、チームの公式応援団は65歳以上のシニア軍団だったり、ダンス好きな普通のおじさんチームだったり……と、あっと驚く楽しい仕掛けだらけ。
バントしたら即退場、打席を外したらストライクがカウントされ、試合時間は短縮化どころか2時間タイムリミット制という潔さで、ファウルボールは観客がキャッチしたらアウトになる上に喝采を浴びて球場が大盛り上がりになるのだ。
どの場面を切り取っても“映える”ので、SNSでも常に話題。一見すると、単なるおふざけの色物にすぎないのではと思う人もいるかもしれないが、選手としての技術もパフォーマンスもハイレベル。多くの選手が大学上位校でプレーし、MLB球団からドラフト指名されたり、マイナーや独立リーグで活躍したりしていた実力者揃いだ。 今や各地でトライアウトが実施されているが、合格するためには野球のスキルだけでなく、魅せる力、SNSでの発信力、人間性などが総合評価される。実力が少し足りなくても、個性が際立っていれば即戦力とみなされるあたりがバナナズ流。その最たる例が、竹馬に乗った二刀流のダコタ・“スティルツ(竹馬)”・オルブリトン。野球は高校までしかプレーしておらず、建設や配管業の仕事をしていたが、竹馬は子供の頃から大得意。竹馬に乗ったまま投打でプレーをしてみせて、見事に合格を勝ち取った。
選手たちは、野球だけでなくダンスや寸劇などのパフォーマンスも練習する。指導するコーチもハイレベルだ。一塁ベースコーチのマセオ・ハリソンは、プロの振付師でダンサー。自身もゲーム中にブレイキンなどのパワフルなパフォーマンスを披露する。先日も、『アメリカズ・ゴット・タレント』に出場し、会場中を神出鬼没に踊って沸かせ、審査員に「もっと見たい!」と叫ばせた。
他にも、ダルトン・モールディンというシンガーソングライターが選手として在籍している。二塁手として華麗なプレーを見せながら、アーティストとしても活動を続けるモールディン。バナナズは打席登場曲が流れる際に選手がリップシンクをしてスターのように踊りながら打席につくため、ミュージカル劇場と化すのがお決まりだが、彼に打順が巡ると、自身のオリジナル曲や人気カバー曲を生で歌ったり、ギターで弾き語りしたりしながら打席に入る。その瞬間、スタジアムはライブ会場のような雰囲気に包まれるのだ。
破竹の快進撃を続けるバナナズだが、チーム発足当初は資金繰りに苦しんだ時期もあった。彼らが全米規模の人気を誇るまでの紆余曲折を振り返ってみよう。
※「前身は大学の夏季リーグで借金180万ドルからのスタート...エンタメ球団サバンナ・バナナズが全米規模の人気を誇るまで」に続く
文●松山ようこ
【著者プロフィール】
まつやまようこ。フリーランスの翻訳者・ライター。野球をはじめとするスポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Web、雑誌、SNSコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。『SLUGGER』で「笑劇トピックス」を連載中。
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今年4月26日にはネブラスカ大のアメフト用スタジアムで8万1000人というバナナズ史上最多の単日観客数を記録。さらに6月6~7日にはノースカロライナ州シャーロットのNFL兼MLSのスタジアムで計14万8千人を集めて史上最多の週末動員数を記録した。現地メディアによると、両日とも5時間以内で完売。その他、エンジェル・スタジアムやフェンウェイ・パークなど、MLB球団の本拠地でも試合を開催し、“本家”顔負けの観客動員を記録している。
大人気の理由は、老若男女が楽しめる最高のエンタメに昇華しているからだろう。バナナ・ボールはゲーム中、投球前の投手が二遊間の選手といきなり踊り出して打者を幻惑したり、審判までもがバック転を決めてコールしたり、竹馬に乗った3メートル超の選手が投打の二刀流で活躍したり、選手が燃えるバットを持って打席に立ったり、チームの公式応援団は65歳以上のシニア軍団だったり、ダンス好きな普通のおじさんチームだったり……と、あっと驚く楽しい仕掛けだらけ。
バントしたら即退場、打席を外したらストライクがカウントされ、試合時間は短縮化どころか2時間タイムリミット制という潔さで、ファウルボールは観客がキャッチしたらアウトになる上に喝采を浴びて球場が大盛り上がりになるのだ。
どの場面を切り取っても“映える”ので、SNSでも常に話題。一見すると、単なるおふざけの色物にすぎないのではと思う人もいるかもしれないが、選手としての技術もパフォーマンスもハイレベル。多くの選手が大学上位校でプレーし、MLB球団からドラフト指名されたり、マイナーや独立リーグで活躍したりしていた実力者揃いだ。 今や各地でトライアウトが実施されているが、合格するためには野球のスキルだけでなく、魅せる力、SNSでの発信力、人間性などが総合評価される。実力が少し足りなくても、個性が際立っていれば即戦力とみなされるあたりがバナナズ流。その最たる例が、竹馬に乗った二刀流のダコタ・“スティルツ(竹馬)”・オルブリトン。野球は高校までしかプレーしておらず、建設や配管業の仕事をしていたが、竹馬は子供の頃から大得意。竹馬に乗ったまま投打でプレーをしてみせて、見事に合格を勝ち取った。
選手たちは、野球だけでなくダンスや寸劇などのパフォーマンスも練習する。指導するコーチもハイレベルだ。一塁ベースコーチのマセオ・ハリソンは、プロの振付師でダンサー。自身もゲーム中にブレイキンなどのパワフルなパフォーマンスを披露する。先日も、『アメリカズ・ゴット・タレント』に出場し、会場中を神出鬼没に踊って沸かせ、審査員に「もっと見たい!」と叫ばせた。
他にも、ダルトン・モールディンというシンガーソングライターが選手として在籍している。二塁手として華麗なプレーを見せながら、アーティストとしても活動を続けるモールディン。バナナズは打席登場曲が流れる際に選手がリップシンクをして
破竹の快進撃を続けるバナナズだが、チーム発足当初は資金繰りに苦しんだ時期もあった。彼らが全米規模の人気を誇るまでの紆余曲折を振り返ってみよう。
※「前身は大学の夏季リーグで借金180万ドルからのスタート...エンタメ球団サバンナ・バナナズが全米規模の人気を誇るまで」に続く
文●松山ようこ
【著者プロフィール】
まつやまようこ。フリーランスの翻訳者・ライター。野球をはじめとするスポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Web、雑誌、SNSコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。『SLUGGER』で「笑劇トピックス」を連載中。
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