2025年オールスター・ゲームのファン投票で、オリックスの若月健矢が捕手部門で選出された。中間発表時から1位を維持し、62万7235票を集めて堂々のトップ。2位の田宮裕涼(日本ハム)に24万票以上の差をつける圧倒的な支持を得ての選出となった。
「本当にたくさん投票いただいてありがとうございました」。本人も感謝の言葉を口にしたが、この結果は決して偶然ではない。
今季の若月は、"勝負強さ"という言葉を体現してきた。3月28日の開幕戦・楽天戦で劇的なサヨナラ打。4月18日、日本ハム戦では前進守備の中堅を越す技ありのサヨナラ二塁打。そして極めつけは5月20日、ロッテ戦でのサヨナラホームラン。前半戦だけで3度のサヨナラ打はファンに強烈なインパクトを与えた。
この活躍が評価され、5月の『スカパー!サヨナラ賞』を初受賞。実は、その裏にはちょっとした"伏線"もあった。
「『スカパー!サヨナラ賞』あるじゃないですか。(3・4月度は)郡司(裕也/日本ハム)選手に取られてしまいましたけど。臨時収入がなかったのでね(笑)。次は選ばれるように」
5月20日の劇的弾を放った後、冗談交じりに語ったこの言葉が、現実となったのだ。受賞時には「モチベーションにもなりますし、次も頑張っていけたら」と喜びを語り、「家具でも買おうかな」とリップサービスも忘れなかった。
もちろん、打撃の充実は“偶然の産物”ではない。
きっかけは、2024年オフの秋季キャンプにあった。5年ぶり高知での秋季キャンプに志願参加。昨シーズン不調だったバッティングに正面から向き合い、フォーム修正に取り組んだ。
「バット軌道やタイミングがとりあえず慌ただしくて。トラックマンとかで見た軌道を出してもらったらめちゃくちゃだったっていうのがあったんで、よりシンプルに。(昨)シーズン終盤は肩に乗せるバッティングで、軌道的に言ってもめちゃくちゃ良かったんで」
努力は成果となって現れた。秋季キャンプ参加も大きかったかとの受賞会見の質問には「そうですね」とその手応えを語りながらも、「最近ちょっとね、ガス欠みたいになってきてますので、もう1回ここから上げていけるように頑張りたいと思います」と表情を引き締めるあたりに、プロとしての真摯な姿勢が垣間見える。
今回のオールスターで組んでみたい投手については、「(機会があれば)もう1回、(日本ハムの山﨑)福也さん(のボールを)取りたいですね」と、元チームメイトとバッテリーを組む機会を楽しみにしている様子。山﨑はファン投票では4位に終わったが、選手間投票や監督推薦、プラスワン投票で選出の可能性がある。開催地・京セラドームでの一戦にも「本当いつも通り。いいピッチャーを受ける機会も多いと思うので、いろいろ受けながら勉強したいと思います」と、あくまで「捕手」としての視点を貫く。
多くのスター選手が一堂に会する真夏の祭典。若月健矢は、勝負強さと誠実さを武器に、大舞台へと足を踏み入れる。
文:写真●野口航志
著者プロフィール:野口航志(ノグチコウジ) 1984年、神戸市生まれ。岡山大学卒業。記者とカメラマンの『二刀流』。プロ野球を中心に、社会人野球やプロレス・ボクシングなどの取材や撮影に携わる。ブレーブス時代からのオリックスファン。
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「本当にたくさん投票いただいてありがとうございました」。本人も感謝の言葉を口にしたが、この結果は決して偶然ではない。
今季の若月は、"勝負強さ"という言葉を体現してきた。3月28日の開幕戦・楽天戦で劇的なサヨナラ打。4月18日、日本ハム戦では前進守備の中堅を越す技ありのサヨナラ二塁打。そして極めつけは5月20日、ロッテ戦でのサヨナラホームラン。前半戦だけで3度のサヨナラ打はファンに強烈なインパクトを与えた。
この活躍が評価され、5月の『スカパー!サヨナラ賞』を初受賞。実は、その裏にはちょっとした"伏線"もあった。
「『スカパー!サヨナラ賞』あるじゃないですか。(3・4月度は)郡司(裕也/日本ハム)選手に取られてしまいましたけど。臨時収入がなかったのでね(笑)。次は選ばれるように」
5月20日の劇的弾を放った後、冗談交じりに語ったこの言葉が、現実となったのだ。受賞時には「モチベーションにもなりますし、次も頑張っていけたら」と喜びを語り、「家具でも買おうかな」とリップサービスも忘れなかった。
もちろん、打撃の充実は“偶然の産物”ではない。
きっかけは、2024年オフの秋季キャンプにあった。5年ぶり高知での秋季キャンプに志願参加。昨シーズン不調だったバッティングに正面から向き合い、フォーム修正に取り組んだ。
「バット軌道やタイミングがとりあえず慌ただしくて。トラックマンとかで見た軌道を出してもらったらめちゃくちゃだったっていうのがあったんで、よりシンプルに。(昨)シーズン終盤は肩に乗せるバッティングで、軌道的に言ってもめちゃくちゃ良かったんで」
努力は成果となって現れた。秋季キャンプ参加も大きかったかとの受賞会見の質問には「そうですね」とその手応えを語りながらも、「最近ちょっとね、ガス欠みたいになってきてますので、もう1回ここから上げていけるように頑張りたいと思います」と表情を引き締めるあたりに、プロとしての真摯な姿勢が垣間見える。
今回のオールスターで組んでみたい投手については、「(機会があれば)もう1回、(日本ハムの山﨑)福也さん(のボールを)取りたいですね」と、元チームメイトとバッテリーを組む機会を楽しみにしている様子。山﨑はファン投票では4位に終わったが、選手間投票や監督推薦、プラスワン投票で選出の可能性がある。開催地・京セラドームでの一戦にも「本当いつも通り。いいピッチャーを受ける機会も多いと思うので、いろいろ受けながら勉強したいと思います」と、あくまで「捕手」としての視点を貫く。
多くのスター選手が一堂に会する真夏の祭典。若月健矢は、勝負強さと誠実さを武器に、大舞台へと足を踏み入れる。
文:写真●野口航志
著者プロフィール:野口航志(ノグチコウジ) 1984年、神戸市生まれ。岡山大学卒業。記者とカメラマンの『二刀流』。プロ野球を中心に、社会人野球やプロレス・ボクシングなどの取材や撮影に携わる。ブレーブス時代からのオリックスファン。
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