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MLB

“サイン盗みスキャンダル”も影響…MLBで全球団の3分の1が監督を代える異例の事態に

宇根夏樹

2020.02.18

レッドソックスがロン・レネキーを暫定監督に据え、30球団すべての監督が決まった。(C)Getty Images

レッドソックスがロン・レネキーを暫定監督に据え、30球団すべての監督が決まった。(C)Getty Images

 ようやく、30球団すべての監督が出揃った。
 レッドソックスは2月11日に、ベンチコーチのロン・レネキーを暫定監督とすることを発表した。今オフの監督交代は、全体の3分の1の10球団に上る。

 ここまで多くなった理由の一つは“サイン盗みスキャンダル”だ。
 アストロズ、レッドソックス、メッツの3球団は、2017年にアストロズが行っていたサイン盗みにそれぞれの監督が関わっていたため、新監督を探す事態に陥った。監督の座を追われた3人のうち、アストロズのAJ・ヒンチは17年もアストロズで采配を振っていた。レッドソックスのコーラはアストロズのベンチコーチ、メッツのカルロス・ベルトランはアストロズの選手だった。

 アストロズは新監督にダスティ・ベイカーを招聘し、メッツはクオリティコントロール・コーチ(と外野コーチ)のルイス・ロハスを監督に据えた。レネキーと違い、この2人には“暫定”の但し書きがついていない。もちろん、他7球団の新監督もそうだ。ちなみに、ベイカーは1年契約で2年目が球団オプション、ロハスは2年契約で3年目が球団オプションとなっている。

 レネキーだけが暫定監督なのは、こちらもサイン盗みが関係している。17年にワールドシリーズを制したアストロズと同じく、レッドソックスもワールドチャンピオンとなった18年にサインを盗んでいた疑いが浮上していて、MLB機構が調査を進めている。当初はスプリングトレーニングまでに完了するはずだったが、それが遅れている。
 
 レネキーがレッドソックスのベンチコーチに就任したのは、17年のオフだ。レッドソックスの編成責任者(チーフ・ベースボール・オフィサー)であるハイム・ブルームは、レネキー就任の記者会見で、暫定監督としたことについて「ロンにとってまずいことが出てくるとは考えていないが、まだ調査は完了していない」と説明している。

 このコメントのとおりであることを信じたいが、もしレネキーがサイン盗みに関連していたとなると、レッドソックスはさらに次の監督を探す必要が生じる。ちなみに、ブルームは昨年10月の就任までレイズのフロントにいたので、“サイン盗みスキャンダル”に巻き込まれる心配はない(前任のデーブ・ドンブロウスキが解任されたのも、サイン盗みが理由ではなかった)。

 レネキーは11~15年にブルワーズで監督を務め、15年は開幕25試合で現監督のクレイグ・カウンセルと交代したが、就任1年目の11年は地区優勝を果たした。その後、ドジャースとエンジェルスの三塁コーチを経て、レッドソックスへやってきた。ブルワーズの監督となる前のコーチ歴も長く、18年だけでなく02年にも、エンジェルスの三塁コーチとしてワールドシリーズ優勝を経験している。当時のエンジェルスは、現エンジェルス監督のジョー・マッドンがベンチコーチ、現ロッキーズ監督のバド・ブラックは投手コーチだった。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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