いよいよ10月23日にドラフト会議が行われる。各チームの育成状況や補強ポイントを踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。近年はBクラス低迷が続くカープはどのような戦略で臨むべきだろうか。
【基本方針】
バランス型
【補強ポイント】
●ポジションに関係なくスラッガー
●先発候補
●比較的早く使える二遊間
【理想の指名】※立石を外したという前提
1位:斉藤汰直(亜細亜大・投手)
2位:エドポロ・ケイン(大阪学院大・外野手)
4位:成瀬脩人(NTT西日本・遊撃手)
2年連続で夏場に失速し、昨年を下回る5位でシーズンを終えた広島。投手陣は床田寛樹、森下暢仁、大瀬良大地、森翔平の4人が130イニングをクリアしたものの全員負け越し。リリーフも栗林良吏、ハーンの勝ちパターンの2人が揃って成績を落とした。野手陣では小園海斗が首位打者に輝いたものの、チーム得点数はリーグ5位、本塁打数は6位と長打力不足は顕著である。投手も野手もあらゆる点で補強が必要なことは確かだろう。
そんな中、10月13日には立石正広(創価大)の1位指名を公言したが、この方針は妥当ではないだろうか。昨年も同じ内野手で強打者タイプの佐々木泰を1位で獲得しているが、立石、佐々木ともに運動能力が高く、あらゆるポジションをこなせるため、併用は十分に可能と考えられる。田村俊介、内田湘大、仲田侑仁など将来の中軸として期待した選手が苦しんでいる現状を考えても大砲候補は必要であり、立石はそんなチーム事情に最もマッチした人材であることは間違いない。
ただ、立石については多ければ6球団以上が競合することも考えられるため、外れた時の候補も考えておきたい。野手では立石が頭一つ抜けた存在であることを考えると無理に野手を重ねるのではなく、評価の高い投手に向かうというのが妥当だろう。 そこでおすすめしたいのが斉藤汰直(亜細亜大・投手)だ。長身から投げ下ろすボールの角度が持ち味で、ブレーキ抜群のフォークで三振を奪うことができる。左投手は森、玉村昇吾、高太一などがいる一方、右の本格派で若手の先発候補は手薄だけに、ぜひ狙いたい選手だ。
確率的には立石を外す方が高いことから、1位が斉藤となった前提で話を進めると、2位ではやはり長打が期待できる選手を狙いたい。内野に比べて外野の若手が少ないことを考えるとぜひ狙いたいのがエドポロ・ケイン(大阪学院大・外野手)だ。下級生の頃はパワーはありながらも確実性に乏しかったが、最終学年で対応力が大きく向上した印象を受ける。引っ張るだけでなくセンターから右方向にもホームランを放つことができ、そのパワーは大学生の中でも間違いなくトップクラスだ。
粗削りな部分も多く、2位では少し順位が高いという声も聞こえてきそうだが、3位は逆ウェーバーで広島の指名順が遅いことを考えると、2位でなければ獲得できない可能性は高いだろう。
他のポジションでは長年チームを支えた田中広輔、上本崇司が今季限りで退団となり、菊池涼介も1年を通じて出場することが難しくなっている現状を考えると二遊間も補強ポイントとなる。
3位である程度力のある投手を狙った後に、4位で狙えそうな二遊間の選手として挙げたいのが成瀬脩人(NTT西日本・遊撃手)だ。高校時代から守備には定評があり、大学では少し停滞したものの社会人では打撃が大きく成長。広角に打ち分ける上手さがあり、スピードも備えている。またセカンド、ショートの両方を守ることができるという点もプラス要因だ。小園、矢野雅哉、羽月隆太郎が揃って左打ちだということを考えても、右打者の成瀬は球団のニーズにマッチした選手と言えるだろう。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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●ポジションに関係なくスラッガー
●先発候補
●比較的早く使える二遊間
【理想の指名】※立石を外したという前提
1位:斉藤汰直(亜細亜大・投手)
2位:エドポロ・ケイン(大阪学院大・外野手)
4位:成瀬脩人(NTT西日本・遊撃手)
2年連続で夏場に失速し、昨年を下回る5位でシーズンを終えた広島。投手陣は床田寛樹、森下暢仁、大瀬良大地、森翔平の4人が130イニングをクリアしたものの全員負け越し。リリーフも栗林良吏、ハーンの勝ちパターンの2人が揃って成績を落とした。野手陣では小園海斗が首位打者に輝いたものの、チーム得点数はリーグ5位、本塁打数は6位と長打力不足は顕著である。投手も野手もあらゆる点で補強が必要なことは確かだろう。
そんな中、10月13日には立石正広(創価大)の1位指名を公言したが、この方針は妥当ではないだろうか。昨年も同じ内野手で強打者タイプの佐々木泰を1位で獲得しているが、立石、佐々木ともに運動能力が高く、あらゆるポジションをこなせるため、併用は十分に可能と考えられる。田村俊介、内田湘大、仲田侑仁など将来の中軸として期待した選手が苦しんでいる現状を考えても大砲候補は必要であり、立石はそんなチーム事情に最もマッチした人材であることは間違いない。
ただ、立石については多ければ6球団以上が競合することも考えられるため、外れた時の候補も考えておきたい。野手では立石が頭一つ抜けた存在であることを考えると無理に野手を重ねるのではなく、評価の高い投手に向かうというのが妥当だろう。 そこでおすすめしたいのが斉藤汰直(亜細亜大・投手)だ。長身から投げ下ろすボールの角度が持ち味で、ブレーキ抜群のフォークで三振を奪うことができる。左投手は森、玉村昇吾、高太一などがいる一方、右の本格派で若手の先発候補は手薄だけに、ぜひ狙いたい選手だ。
確率的には立石を外す方が高いことから、1位が斉藤となった前提で話を進めると、2位ではやはり長打が期待できる選手を狙いたい。内野に比べて外野の若手が少ないことを考えるとぜひ狙いたいのがエドポロ・ケイン(大阪学院大・外野手)だ。下級生の頃はパワーはありながらも確実性に乏しかったが、最終学年で対応力が大きく向上した印象を受ける。引っ張るだけでなくセンターから右方向にもホームランを放つことができ、そのパワーは大学生の中でも間違いなくトップクラスだ。
粗削りな部分も多く、2位では少し順位が高いという声も聞こえてきそうだが、3位は逆ウェーバーで広島の指名順が遅いことを考えると、2位でなければ獲得できない可能性は高いだろう。
他のポジションでは長年チームを支えた田中広輔、上本崇司が今季限りで退団となり、菊池涼介も1年を通じて出場することが難しくなっている現状を考えると二遊間も補強ポイントとなる。
3位である程度力のある投手を狙った後に、4位で狙えそうな二遊間の選手として挙げたいのが成瀬脩人(NTT西日本・遊撃手)だ。高校時代から守備には定評があり、大学では少し停滞したものの社会人では打撃が大きく成長。広角に打ち分ける上手さがあり、スピードも備えている。またセカンド、ショートの両方を守ることができるという点もプラス要因だ。小園、矢野雅哉、羽月隆太郎が揃って左打ちだということを考えても、右打者の成瀬は球団のニーズにマッチした選手と言えるだろう。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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