10月23日にドラフト会議が行われる。各チームの育成状況や補強ポイントを踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。4年連続のBクラスに沈んだ楽天は、どのような戦略で臨むべきだろうか。
【基本方針】
即戦力重視
【補強ポイント】
●右の大砲候補
●投手全般
●右打ちの外野手
【理想の指名】
1位:島田舜也(投手/東洋大)
3位:高橋隆慶(三塁手/JR東日本)
4位:岡城快生(外野手/筑波大)
三木肇監督が5年ぶりに再登板したものの、4年連続となる4位に終わった楽天。投手は規定投球回に達した選手がおらず、今年で41歳の大ベテラン岸孝之がチーム2位の109イニングをこなしがところに、苦しい台所事情がよく表れている。また先発の一角である早川隆久が肩の手術を受け、長年チームを支えてきた則本昂大が海外FA権を行使してメジャー挑戦する見込みということを考えても、投手の補強は必要不可欠だ。
一方の打線もルーキーの宗山塁、2年目の中島大輔などが奮闘したが、主砲の浅村栄斗が大きく成績を落とし、チーム本塁打70本はリーグ最下位と長打力不足は大きな課題だ。またセンターの辰己涼介もポスティングによるメジャー移籍を球団と交渉中で、去就が微妙な状況。こちらも補強ポイントは多い。
直近の課題という意味では投手を優先したくなるところだが、今年のドラフトでは昨年の金丸夢斗(関西大→中日)のような圧倒的No.1は不在。また長打力不足ということを考えると、まずは目玉の立石正広(創価大)を狙ってから、投手に切り替えるという方針が良いのではないだろうか。宗山、立石と2年続けて野手の目玉を獲得し、彼らが三遊間、もしくは二遊間を組むことになればチームの大きな強みとなる可能性も高い。
ただ、立石の1位抽選を外した場合に、彼に匹敵する野手は他にいない。そうなると、やはり投手への方針転換が妥当だろう。そこで狙いたいのが島田舜也(東洋大)だ。恵まれた体格から投げ込むストレートはコンスタントに150キロ台をマークし、数字に見合うだけの威力もある。少し調子の波が大きいのは課題だが、この秋のシーズンは緩急をうまく使って試合を作れるようになったのもプラスだ。近年も荘司康誠、古謝樹といった少し粗削りでもボールに力がある投手が戦力になっているだけに、島田も彼らに続く存在として期待できるだろう。
1位で島田が獲得できても、投手はまだまだ必要なだけに、2位で残っていれば岩城颯空(中央大)、藤原聡大(花園大)など、最終学年に評価を上げてきた選手を狙いたいところだ。
上位2人で無事投手が確保できた場合には、3位ではやはり長打力のある野手を獲得しておきたい。そこで候補となるのが高橋隆慶(JR東日本)だ。中央大時代はパワーはありながらも力任せな印象が強かったが、社会人では力を抜いて広角に打てるようになった印象を受ける。1年目から4番として出場し続け、チームの都市対抗16年連続出場に貢献するなど大舞台で場数を踏んできた。
他のポジションにも補強ポイントは多いが、捕手は有力候補が少ない一方、逆に外野手は力のある選手が多い“市場”。そこで候補として挙げたいのが岡城快生(筑波大)だ。高校時代はまったく無名の存在だったが、大学で急成長を遂げ、日本代表候補合宿に召集されるまでになった。持ち味は運動能力の高さで、大学日本代表候補の50メートル走では全体でもトップのタイムをマークしている。打撃も年々レベルアップしており、今年の秋は4割近い打率をマーク。辰己の去就が微妙で、右打ちの外野手が不足していることを考えても、楽天にチーム事情にマッチした選手と言えるだろう。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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即戦力重視
【補強ポイント】
●右の大砲候補
●投手全般
●右打ちの外野手
【理想の指名】
1位:島田舜也(投手/東洋大)
3位:高橋隆慶(三塁手/JR東日本)
4位:岡城快生(外野手/筑波大)
三木肇監督が5年ぶりに再登板したものの、4年連続となる4位に終わった楽天。投手は規定投球回に達した選手がおらず、今年で41歳の大ベテラン岸孝之がチーム2位の109イニングをこなしがところに、苦しい台所事情がよく表れている。また先発の一角である早川隆久が肩の手術を受け、長年チームを支えてきた則本昂大が海外FA権を行使してメジャー挑戦する見込みということを考えても、投手の補強は必要不可欠だ。
一方の打線もルーキーの宗山塁、2年目の中島大輔などが奮闘したが、主砲の浅村栄斗が大きく成績を落とし、チーム本塁打70本はリーグ最下位と長打力不足は大きな課題だ。またセンターの辰己涼介もポスティングによるメジャー移籍を球団と交渉中で、去就が微妙な状況。こちらも補強ポイントは多い。
直近の課題という意味では投手を優先したくなるところだが、今年のドラフトでは昨年の金丸夢斗(関西大→中日)のような圧倒的No.1は不在。また長打力不足ということを考えると、まずは目玉の立石正広(創価大)を狙ってから、投手に切り替えるという方針が良いのではないだろうか。宗山、立石と2年続けて野手の目玉を獲得し、彼らが三遊間、もしくは二遊間を組むことになればチームの大きな強みとなる可能性も高い。
ただ、立石の1位抽選を外した場合に、彼に匹敵する野手は他にいない。そうなると、やはり投手への方針転換が妥当だろう。そこで狙いたいのが島田舜也(東洋大)だ。恵まれた体格から投げ込むストレートはコンスタントに150キロ台をマークし、数字に見合うだけの威力もある。少し調子の波が大きいのは課題だが、この秋のシーズンは緩急をうまく使って試合を作れるようになったのもプラスだ。近年も荘司康誠、古謝樹といった少し粗削りでもボールに力がある投手が戦力になっているだけに、島田も彼らに続く存在として期待できるだろう。
1位で島田が獲得できても、投手はまだまだ必要なだけに、2位で残っていれば岩城颯空(中央大)、藤原聡大(花園大)など、最終学年に評価を上げてきた選手を狙いたいところだ。
上位2人で無事投手が確保できた場合には、3位ではやはり長打力のある野手を獲得しておきたい。そこで候補となるのが高橋隆慶(JR東日本)だ。中央大時代はパワーはありながらも力任せな印象が強かったが、社会人では力を抜いて広角に打てるようになった印象を受ける。1年目から4番として出場し続け、チームの都市対抗16年連続出場に貢献するなど大舞台で場数を踏んできた。
他のポジションにも補強ポイントは多いが、捕手は有力候補が少ない一方、逆に外野手は力のある選手が多い“市場”。そこで候補として挙げたいのが岡城快生(筑波大)だ。高校時代はまったく無名の存在だったが、大学で急成長を遂げ、日本代表候補合宿に召集されるまでになった。持ち味は運動能力の高さで、大学日本代表候補の50メートル走では全体でもトップのタイムをマークしている。打撃も年々レベルアップしており、今年の秋は4割近い打率をマーク。辰己の去就が微妙で、右打ちの外野手が不足していることを考えても、楽天にチーム事情にマッチした選手と言えるだろう。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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