10月23日にドラフト会議が行われる。各チームの育成状況や補強ポイントを踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。2年連続でリーグ2位に入り、クライマックスシリーズでは首位ソフトバンクをあと一歩まで追い詰めた日本ハムは、どのような戦略で臨むべきだろうか。
【基本方針】
バランス型
【補強ポイント】
●即戦力の二塁手・遊撃手
●左投手
●高卒の捕手
【理想の指名】
1位:立石正広(二塁手/創価大)、もしくは石垣元気(投手/健大高崎高)
2位:工藤泰己(投手/北海学園大)、もしくは松川玲央(遊撃手/城西大)
5位:藤森海斗(捕手/明徳義塾高)
目先の補強ポイントを埋めるのではなく、最も評価の高い選手を上位で指名するのが日本ハムのドラフトの原則だ。その方針は、リーグ優勝目前まで迫った今年も変わるところはないし、変える必要もまったくない。
となれば、1位は今ドラフトで一番の目玉である立石正広(創価大)が基本線。今季 、二塁では石井一成が自己最高の成績を残したとはいえ、すでに31歳ということを考えると、長くはレギュラーを務められない。そもそも石井はFA資格を持っているので、残留すると決まってもいない。創価大とは以前から太いパイプがあるだけでなく、もともと三塁手だった立石の二塁守備を鍛えた同校野球部の高口隆行コーチは日本ハムOBで、フロントにも在籍した経験がある。こうした縁まで含めて考えると、立石以外の選択肢はあり得ないようにすら思える。
だが、高校生ながら最速158キロを叩き出す石垣元気(健大高崎高)も、立石に匹敵するほどの逸材。しかも出身地は北海道の登別市だ。ここで思い出すのが、アマチュアNo.1左腕と言われていた早川隆久(早稲田大→楽天)を差し置いて、道産子の伊藤大海(苫小牧駒沢大)を一本釣りした2020年のドラフトだ。
もちろん伊藤の評価も高かったからこそ指名したわけだが、結果的には大正解。「No.1ではないが、限りなくそれに近い北海道出身者」という点で、石垣の立ち位置は当時の伊藤によく似ている。もしドラフト直前の段階で立石の競争率が上がりすぎるか、石垣に入札する球団がかなり少ない見通しであれば、立石を見送って石垣に行っても間違いではないだろう。そのくらい、どちらもチームにとって魅力的な人材だ。
立石と石垣、どちらも獲得できなかった場合の外れ1位は、左腕投手の高齢化が若干進んでいることもあり、毛利海大(明治大)、竹丸和幸(鷺宮製作所)あたりが候補か。ともに与四球率が低く、現有戦力の若手左腕、細野晴希や松浦慶斗がパワーピッチャーとあって、彼らとは違うタイプであるのもいい。
1位で立石が取れた場合の2巡目は、、石垣と同じく北海道の豪腕(最速159キロ)・工藤泰己(北海学園大)。石垣ら投手を1位で獲得できれば、二遊間を守れる選手が欲しい。右肘の故障もあって、この秋のシーズンは打率1割台の大不振に陥っている松川玲央(城西大)だが、本来はとびきりの俊足で、また今のファイターズ打線に不足している選球眼も持ち併せている。怪我の状態があまり良くない場合には、こちらも球の見極めが上手い二遊間候補として熊田任洋(トヨタ自動車)の名が浮かぶ。
また、捕手で最も若いのが大卒2年目の進藤勇也とあって、高校生キャッチャーも確保しておきたい。別に北海道出身者にこだわる必要はないが、札幌出身の藤森海斗(明徳義塾高)はU-18日本代表に選出された実力の持ち主であり、5位で残っていれば指名する価値はある。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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バランス型
【補強ポイント】
●即戦力の二塁手・遊撃手
●左投手
●高卒の捕手
【理想の指名】
1位:立石正広(二塁手/創価大)、もしくは石垣元気(投手/健大高崎高)
2位:工藤泰己(投手/北海学園大)、もしくは松川玲央(遊撃手/城西大)
5位:藤森海斗(捕手/明徳義塾高)
目先の補強ポイントを埋めるのではなく、最も評価の高い選手を上位で指名するのが日本ハムのドラフトの原則だ。その方針は、リーグ優勝目前まで迫った今年も変わるところはないし、変える必要もまったくない。
となれば、1位は今ドラフトで一番の目玉である立石正広(創価大)が基本線。今季 、二塁では石井一成が自己最高の成績を残したとはいえ、すでに31歳ということを考えると、長くはレギュラーを務められない。そもそも石井はFA資格を持っているので、残留すると決まってもいない。創価大とは以前から太いパイプがあるだけでなく、もともと三塁手だった立石の二塁守備を鍛えた同校野球部の高口隆行コーチは日本ハムOBで、フロントにも在籍した経験がある。こうした縁まで含めて考えると、立石以外の選択肢はあり得ないようにすら思える。
だが、高校生ながら最速158キロを叩き出す石垣元気(健大高崎高)も、立石に匹敵するほどの逸材。しかも出身地は北海道の登別市だ。ここで思い出すのが、アマチュアNo.1左腕と言われていた早川隆久(早稲田大→楽天)を差し置いて、道産子の伊藤大海(苫小牧駒沢大)を一本釣りした2020年のドラフトだ。
もちろん伊藤の評価も高かったからこそ指名したわけだが、結果的には大正解。「No.1ではないが、限りなくそれに近い北海道出身者」という点で、石垣の立ち位置は当時の伊藤によく似ている。もしドラフト直前の段階で立石の競争率が上がりすぎるか、石垣に入札する球団がかなり少ない見通しであれば、立石を見送って石垣に行っても間違いではないだろう。そのくらい、どちらもチームにとって魅力的な人材だ。
立石と石垣、どちらも獲得できなかった場合の外れ1位は、左腕投手の高齢化が若干進んでいることもあり、毛利海大(明治大)、竹丸和幸(鷺宮製作所)あたりが候補か。ともに与四球率が低く、現有戦力の若手左腕、細野晴希や松浦慶斗がパワーピッチャーとあって、彼らとは違うタイプであるのもいい。
1位で立石が取れた場合の2巡目は、、石垣と同じく北海道の豪腕(最速159キロ)・工藤泰己(北海学園大)。石垣ら投手を1位で獲得できれば、二遊間を守れる選手が欲しい。右肘の故障もあって、この秋のシーズンは打率1割台の大不振に陥っている松川玲央(城西大)だが、本来はとびきりの俊足で、また今のファイターズ打線に不足している選球眼も持ち併せている。怪我の状態があまり良くない場合には、こちらも球の見極めが上手い二遊間候補として熊田任洋(トヨタ自動車)の名が浮かぶ。
また、捕手で最も若いのが大卒2年目の進藤勇也とあって、高校生キャッチャーも確保しておきたい。別に北海道出身者にこだわる必要はないが、札幌出身の藤森海斗(明徳義塾高)はU-18日本代表に選出された実力の持ち主であり、5位で残っていれば指名する価値はある。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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