ポストシーズン男の一振りが試合を決めた。
現地10月20日、ブルージェイズとマリナーズがワールドシリーズ出場を賭けた戦ったアメリカン・リーグ優勝決定シリーズ第7戦、勝者総取りの対決で逆転決勝3ランを放ったのは、ブルージェイズの36歳のベテラン、ジョージ・スプリンガーだった。
スプリンガーは第5戦で右膝にデッドボールを受け途中交代。第6戦からスタメンに復帰したが、スウィングのたびに膝から崩れ落ちるなど、決して万全の状態ではなかった。
1対3の2点ビハインドで迎えた第7戦の7回、下位打線でチャンスを作り、1死二・三塁でスプリンガーに打席が回ってきた。代わったマリナーズの3番手エデュアルド・バザードの2球目は甘く入ったシンカー。前日は打ち取られたボールを打ち砕き、打球はレフトスタンドへ弧を描いた。
スタンドインを確信したスプリンガーは、負傷した足で飛び跳ねながらベースを一周。4万0000人のファンが総立ちになり、飛び跳ね、大歓声とともに揺れた。1993年ワールドシリーズ第6戦でジョー・カーターが放った世界一を決めるサヨナラ弾、2015年の地区シリーズでホゼ・バティスタがド派手なバットフリップを見せた逆転決勝弾に並ぶ、ブルージェイズ史上に残る名場面が誕生した瞬間だった。
スプリンガーはこれまでもプレーオフ男として鳴らしてきた。アストロズ在籍時の17年にはワールドシリーズで5本塁打。球団創設以来初の世界一達成に貢献し、シリーズMVPにも輝いた。
21年のブルージェイズ移籍後は若いチームでベテランとして存在感を発揮。23~24年は精彩を欠き、下り坂の気配が漂っていたが、今季は打率.309、32本塁打、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)、カル・ローリー(マリナーズ)に続いてリーグ3位のOPS.000と華々しく復活。ポストシーズンでも今回の一発を含め4ホーマーを放って通算23本とし、フィリーズのカイル・シュワーバーに並んで歴代3位タイにつけた。
4度のオールスター、2度のシルバースラッガー賞という輝かしいキャリアを誇り、明るい性格のチームリーダーとしても知られるスプリンガーだが、意外な一面も持ち合わせている。
幼少期から吃音に悩まされ、いじめも経験した。人前で話すことができない時期もあったが、それでも野球を続けながら徐々に克服。オールスター初出場時には、試合中にマイクをつけてライブインタビューを受けた初めての選手にもなった。
自らの経験を胸に、アストロズ在籍時から吃音を抱える若者たちへの支援活動も展開。15年には優れた社会貢献を行う選手に与えられるロベルト・クレメンテ賞にもノミネートされた。トロントに移った現在でもチャリティ・イベントを開催するなど精力的に活動を続けている。「自分でコントロールできないことが夢の障壁になってはいけない」。スプリンガーは吃音に悩む子供たちをそう言って激励している。
「チームのハート&ソウル」――32年ぶりのワールドシリーズ出場を勝ち取った直後、ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督はスプリンガーをそう表現した。ドジャースとの頂上決戦でも、無類の勝負強さを誇るベテランにかかる期待は大きい
構成●SLUGGER編集部
【動画】リーグ優勝を決定づける一打!スプリンガーが逆転3ラン
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スプリンガーは第5戦で右膝にデッドボールを受け途中交代。第6戦からスタメンに復帰したが、スウィングのたびに膝から崩れ落ちるなど、決して万全の状態ではなかった。
1対3の2点ビハインドで迎えた第7戦の7回、下位打線でチャンスを作り、1死二・三塁でスプリンガーに打席が回ってきた。代わったマリナーズの3番手エデュアルド・バザードの2球目は甘く入ったシンカー。前日は打ち取られたボールを打ち砕き、打球はレフトスタンドへ弧を描いた。
スタンドインを確信したスプリンガーは、負傷した足で飛び跳ねながらベースを一周。4万0000人のファンが総立ちになり、飛び跳ね、大歓声とともに揺れた。1993年ワールドシリーズ第6戦でジョー・カーターが放った世界一を決めるサヨナラ弾、2015年の地区シリーズでホゼ・バティスタがド派手なバットフリップを見せた逆転決勝弾に並ぶ、ブルージェイズ史上に残る名場面が誕生した瞬間だった。
スプリンガーはこれまでもプレーオフ男として鳴らしてきた。アストロズ在籍時の17年にはワールドシリーズで5本塁打。球団創設以来初の世界一達成に貢献し、シリーズMVPにも輝いた。
21年のブルージェイズ移籍後は若いチームでベテランとして存在感を発揮。23~24年は精彩を欠き、下り坂の気配が漂っていたが、今季は打率.309、32本塁打、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)、カル・ローリー(マリナーズ)に続いてリーグ3位のOPS.000と華々しく復活。ポストシーズンでも今回の一発を含め4ホーマーを放って通算23本とし、フィリーズのカイル・シュワーバーに並んで歴代3位タイにつけた。
4度のオールスター、2度のシルバースラッガー賞という輝かしいキャリアを誇り、明るい性格のチームリーダーとしても知られるスプリンガーだが、意外な一面も持ち合わせている。
幼少期から吃音に悩まされ、いじめも経験した。人前で話すことができない時期もあったが、それでも野球を続けながら徐々に克服。オールスター初出場時には、試合中にマイクをつけてライブインタビューを受けた初めての選手にもなった。
自らの経験を胸に、アストロズ在籍時から吃音を抱える若者たちへの支援活動も展開。15年には優れた社会貢献を行う選手に与えられるロベルト・クレメンテ賞にもノミネートされた。トロントに移った現在でもチャリティ・イベントを開催するなど精力的に活動を続けている。「自分でコントロールできないことが夢の障壁になってはいけない」。スプリンガーは吃音に悩む子供たちをそう言って激励している。
「チームのハート&ソウル」――32年ぶりのワールドシリーズ出場を勝ち取った直後、ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督はスプリンガーをそう表現した。ドジャースとの頂上決戦でも、無類の勝負強さを誇るベテランにかかる期待は大きい
構成●SLUGGER編集部
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