プロ野球

野球界の現状に危機感を覚える宮本慎也氏が、琉球オーシャンズに伝えた「正しい努力」

岩国誠

2020.02.21

清水監督のリクエストに応え、宮本氏が琉球の臨時コーチを務めた。写真:岩国誠

 ソフトバンク・王貞治会長の「プロ野球16球団構想」発言によって、にわかに注目が集まる新球団・琉球ブルーオーシャンズ。

 2月20日、春季キャンプ最終クールを迎えている東風平野球場には、野手特別講義・臨時コーチとして、選手たちに技術指導を行う前ヤクルトヘッドコーチ・宮本慎也氏の姿があった。

 昨年のヤクルト退団を受けて、宮本氏は17年に回復した学生野球資格の再申請を行い、再びアマチュア指導が可能になった。12月には東洋大の招きで初指導を行い、さらに04年アテネ五輪と06年WBCをともに戦った琉球・清水直行監督の誘いに応える最良の形として、短期間の"臨時コーチ"を選択した。

 宮本がその経緯を語る。

「『新球団が始まるので手伝ってくれませんか』と、声をかけてもらいました。ただ、僕はアマチュアも教えたい。そうなると中に入ってという形では取れないので、臨時コーチとしてならと。今回は2日間という短い時間ですが、スケジュールの都合がついた時にまた来れたらと思っています」
 
 今回、臨時コーチを引き受けた理由のひとつに、宮本氏が感じている現状の野球界に対する危機感がある。

「現実的に野球の競技人口が減っていたり、アマチュアを教えるために資格の回復をしましたが、ここでは臨時コーチとしてでしか教えられないように、未だにプロアマの問題を感じる部分もあります。何をやっているのかなと。どっかりしていたら、20年先、30年先にプロ野球が本当にメジャースポーツかどうかも怪しくなってきている。NPBで指導者になることだけが、野球界に貢献しているということでもないですし、未開拓のところをなんとか野球界に取り込む努力をしていかないといけない。独立リーグや琉球のようなNPBではないプロ球団でも、力になれることがあれば、僕の知っている技術や知識を伝えることが、野球界への恩返しになると思っています」

 NPB球団を離れたからこそできること。
 アマチュアを含めたこれからの野球界を背負っていく人材へ、自らこれまで培ってきたものを還元することに、宮本氏は目を向けている。