プロ野球

【世代別で見るプロ野球】「松坂世代」と「田中・斎藤世代」の間に埋もれながら、タイトルホルダーを多く輩出した密かな豊作世代

氏原英明

2020.03.27

「松坂世代」と「田中世代」に挟まれた「谷間世代」も多士済々。岸(中央)など、タイトルホルダーが揃っている。(C)Getty Images、THE DIGEST

 プロ野球は世代別で見ると面白い。

 17年間も甲子園やアマチュア野球を取材していると、なにかにつけ「この選手は〇〇世代だな」などと頭に浮かんでくる。読者の皆さんも同じような感覚をお持ちではないだろうか。

「〇〇世代」という言葉が使われるようになったのは、1980年度生まれの「松坂世代」からだ。

 1998年、松坂大輔(現西武)擁する横浜高が甲子園春夏連覇を達成し、高校野球界は大いに盛り上がった。さらにその後、松坂はもちろんのこと、大卒や社会人経由からのプロ入りも含め松坂と同じ年の選手が数多く活躍したことで、「松坂世代」は球界の一大勢力となった。代表的な松坂世代の選手たちは、下記のとおりだ。

<主な松坂世代の選手>
●現役
松坂大輔(西武)    
藤川球児(阪神)
久保裕也(楽天)
和田毅(ソフトバンク)
渡辺直人(楽天)
久保康友(元阪神など。昨季はメキシカンリーグに所属)

●引退
東出輝裕(広島コーチ)
村田修一(巨人コーチ)
平石洋介(ソフトバンクコーチ)
赤田将吾(西武コーチ)
杉内俊哉(巨人コーチ)
実松一成(巨人コーチ)
上本達之(西武コーチ)
館山昌平(楽天コーチ)
小谷野栄一(オリックスコーチ)
矢野謙次(日本ハムコーチ)
永川勝浩(広島コーチ)
工藤隆人(中日コーチ)
後藤武敏(楽天コーチ)
 
 今年、40歳を迎える彼らの多くはすでにユニフォームを脱ぎ、数少ない現役選手もキャリアの晩年を迎えている。にもかかわらず、今もなお多くの野球ファンの記憶に残り続けている。

 松坂世代以降の大豊作世代は、1988年度生まれの「田中・斎藤世代」だと言われている。

 2006年夏の甲子園決勝戦が再試合にもつれ込む大激戦になったことで、この世代は話題となった。決勝で投げ合った早稲田実業の斎藤佑樹(現日本ハム)と駒大苫小牧の田中将大(現ヤンキース)以外にも、のちにプロ野球界の中心を担う有力選手が続々と現れた。

 この夏の甲子園には出られなかったものの、中学時代からの田中のライバルだった前田健太(現ツインズ)、同じく小学校時代のチームメイト坂本勇人(現巨人)は高卒でプロ入りして球界を代表するスター選手となった。大卒組では柳田悠岐(現ソフトバンク)、秋山翔吾(現レッズ)、社会人経由組では宮崎敏郎(DeNA)、石川歩(ロッテ)などがいる。