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【MLB今日は何の日】ジャッキー・ロビンソンが人種の壁を打ち破りメジャーデビュー。背番号42は今や全30球団で欠番に

出野哲也

2020.04.15

人種の壁を打ち破ったロビンソンのデビューはMLB史で最も重要な出来事の一つに数えられる。(C)Getty Images

 4月15日はジャッキー・ロビンソン・デー。毎年この日は、MLB全30球団で永久欠番となっている背番号42をつけたユニフォームを選手たちが(監督やコーチ、審判までも)着ることになっている。少々やりすぎにも思えるが、それくらいロビンソンがメジャーリーグとアメリカ社会に与えた影響は大きかった。

 ロビンソンがブルックリン・ドジャースで公式戦に初出場したのが、1947年のこの日。MLBでは19世紀に数名の黒人選手がいたものの、20世紀以降は各球団の「紳士協定」により、肌の色が濃い選手はプレーしていなかった。だが46年にブランチ・リッキーGMがロビンソンと契約。1年間モントリオールのマイナー球団で、白人野球の経験を積ませた上でデビューとなった。

 舞台は本拠のエベッツ・フィールド、対戦相手はボストン・ブレーブス。打順は2番、ポジションは本職の二塁ではなく一塁だった(この年は全試合で一塁手として出場している)。「緊張はしていない」と試合前に語っていたロビンソンだったが、初打席はジョニー・セインの前に三塁ゴロ。第2打席はレフトフライ、一死一・三塁の好機で迎えた第3打席は遊ゴロ併殺打に倒れる。
 
 だが、7回の4打席目は無死一塁で回ってきて、送りバントが一塁手の悪送球を誘い、初めて塁に出た。次打者ピート・リーザーの二塁打で初得点を記録し、試合もドジャースが5-3で勝った。

 華々しいデビューとはいかなかったが「慣れればすぐに活躍するだろう」とリーザーが言っていた通り、2試合目の17日に初安打を放つと、18日のニューヨーク・ジャイアンツ戦で初本塁打、翌19日は3安打とメジャーのレベルにすぐに適応。相手チームのいやがらせや観客からの汚い野次などにも耐え抜きながらのプレーは、当初彼に否定的だった人たちにも感銘を与え、見方を変えていった。

 最終的に打率.297、175安打、リーグ最多の29盗塁。この年から制定された新人王に選ばれ、同賞は今では「ジャッキー・ロビンソン賞」の名が付されている。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――"裏歴史の主人公たち"」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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