大学野球

神奈川大学リーグの注目選手はこの3人!今季の“ドラフト候補生”を紹介

大友良行

2020.04.27

左から関、藤村、渡部。いずれも今冬のドラフトで指名される可能性を秘めた選手だ。写真:大友良行

 日常とは違う――。グラウンドの周辺からも、打球音や選手たちの元気な掛け声が聞こえてこない。静かなものだ。

"野球のある風景"を見られないのは『前代未聞』『空前絶後』のこと。すべてが新型コロナウイルスに奪われてしまった。神奈川大学リーグの3人のドラフト候補選手たちは、今どんな状況で開幕を待っているのだろうか。

●関龍摩(関東学院大/外野手)
181㎝・80㎏、右投右打、福井県出身、福井商業高

 神奈川リーグでイチ押しの走攻守3拍子揃った好選手。ミートが上手なバランスのとれた中・長距離打者だ。

 野球を始めたのは、物心ついた頃から。3歳上の兄の影響が大きい。中学生の時、兄が福井商で甲子園に出場し、「自分も」と入れ替わりに同校へ進んだ。最後の夏の県大会決勝で接戦の末、北陸高に5対6で敗れ、「満塁のチャンスが2回も回って来たのに打てなかった」。口惜しくて、納得できるまで野球を続ける決意で、関東学院大の扉を叩いた。

 大学1年春から11試合にスタメン出場し、打率.347。秋には21安打を放ち.477で首位打者に輝いた。以後クリーンアップを打ち続け通算67試合で打率.387、出塁率.477、長打率.551と際立った活躍を見せ、17年秋、18年春、19年秋に3回のベスト9に選ばれている。19年秋は16打点を上げ打点王も。学生日本代表候補にも2回名を連ねるなど、十分過ぎるほどの成績を残している。
 
 同大の三森俊貴監督は、関のことを以下のように見ている。

「どんなタイプの投手にも対応できる能力があります。ハイアベレージ打者と言ってもいいでしょう。3年夏に神奈川リーグ選抜チームでオランダの『ワールドポート野球大会』に行かせましたが、そこでアメリカ、台湾、オランダなどと対戦してきました。打ちまくって首位打者になったのですが、決勝でオランダに負けました。海外の野球を垣間見たことと、勝負処で活躍したので、一段と逞しくなって帰ってきました。

 今季は、3番を打たせます。副主将として数字にこだわらず、声掛けプレーでチームを引っ張る姿勢がいいです。ラストシーズンにかける強い想いがあるようです」

 プロもバッテイングに注目している。DeNAの河原隆一スカウトの見方はこうだ。

「シャープに振れている。実戦向きの打撃センスを持っています。典型的な中距離打者としては、文句なしです。後は送球の精度を高めることぐらいですかね」

 関が目標としてきたのはイチロー(元マリナーズ)だ。

「自分の打撃に自信を持っているし、ヒットにする技術がすごいです。詰まっても前に落としてポテンヒットにする。投手の嫌がることができるので。率も残しながら、長距離も打てる選手です。好きなプロ選手で言えば長野久義選手(広島カープ)。打って、守って、走れるからです」と言う。

 福井越前市の実家で過ごす今は、どんな練習をしているのだろうか。

「ちょうど兄も帰ってきているので、手伝ってもらいながら、キャッチボールや素振りをして、トレーナーから与えられたメニューをこなしています。下半身強化のためのランニングと走り込み。それにスクワット、メディシンボールを使った上半身の強化。バトミントンの羽根を打つ練習などを繰り返しています。今季は、最後ということもありますし、頑張って、納得できる結果を残してドラフト指名を待ちたいです」