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侍ジャパン

【節丸裕一のとっておき話】「ありがとう、王ジャパン」と言って放送を終えると、涙が出てきた|第1回WBC後編

節丸裕一

2020.05.01

劇的な形で頂点に立った日本。低迷気味だったプロ野球人気が盛り返すきっかけにもなった。(C)Getty Images

劇的な形で頂点に立った日本。低迷気味だったプロ野球人気が盛り返すきっかけにもなった。(C)Getty Images

 奇跡のような準決勝進出が決まった翌日。ペトコ・パークで準決勝進出の日本、韓国、キューバ、ドミニカ共和国の公式練習を取材した。

 日本の選手の表情は全体的に明るかったが、逆にそこが少し気になる部分でもあった。イチローに「一度可能性が消えかけていた準決勝進出が決まって、チーム全体の雰囲気やモチベーションはどうですか?」と尋ねた。足を止めたイチローは「試合が今日だったら心配でした。でも明日なので、この一日は大きいと思います。今日でしっかり準備ができる。そうしなければいけないと思います」という答えだった。

「この一日」を実際にプラスにできたのか、準決勝の韓国戦はまたしても手に汗握る緊迫した展開になった。先発の上原浩治が素晴らしいピッチング。打線は韓国投手陣に抑えられていたものの、7回表にそれまで不振を囲っていた代打・福留孝介の2ランから打線がつながり一挙5点。6対0で勝って決勝進出を決めた。3度目の対戦でついに韓国に勝った日本の選手の表情。悔しい思いを晴らすことができた、久しぶりに見る勝者の顔だった。世界一まで、あと1勝。
 そう言えば、前日練習でイ・スンヨプが「日本に3度勝つのは簡単ではない」と真剣な顔で話していた。日本でも活躍している韓国球界のスーパースターの本音。日本の野球のレベルの高さを身を持って知っているからの言葉だったと思う。本当にいろいろなことが次々に起きる中での決勝進出だった。

 僕は2001年からプロ野球、02年からメジャーリーグの実況に携わってきた。今、振り返れば06年の僕は若かったが、当時は「プロ野球とメジャーリーグの両方を何年も見続けてきた」という自負があったので、この大会には特別な思い入れがあった。絶対に面白いはずだと思っていたし、選手は本気でプレーしてくれると信じていたし、ファンにその魅力を100%伝えたかった。
 

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