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プロ野球

投手は"令和の怪物"、野手は…アマチュア野球ウォッチャー西尾典文が選ぶ「今まで見た中で最も凄い選手」

西尾典文

2020.06.03

先日のシート打撃で160キロの速球を投げて話題となった佐々木。今から一軍デビューが待ちきれない。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

先日のシート打撃で160キロの速球を投げて話題となった佐々木。今から一軍デビューが待ちきれない。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 長年アマチュア野球を見てきて、最も多くされる質問の一つが「今まで見た選手の中で誰が一番凄かったか?」というものだ。というわけで今回は2001年秋以降、現場でプレーを見た選手で個人的に最も凄さを感じた選手を紹介したいと思う。

 全ポジション、カテゴリーから一人を選ぶとなると、迷わず佐々木朗希(大船渡高→ロッテ)になる。高校1年夏から147キロをマークして評判になっていたが、実際にそのプレーを見たのは2年夏の対盛岡四高戦だった。この試合、佐々木は背番号20をつけていたが、その長身もあってウォーミングアップの時からすぐにその存在は目に付いた。

 まず驚かされたのが試合前のキャッチボールと遠投だ。この日の大船渡は一塁側ベンチで、佐々木はセンター方向から一塁線に向かって投げていたが、力を入れて投げたボールはまるで重力がないかのような軌道とスピードで相手選手に一直線で届いていた。1973年春の選抜に出場した作新学院高の江川卓の遠投を見て、相手の北陽高(現関大北陽)の選手が静まり返ったというエピソードを聞いたことがあるが、佐々木の遠投にもそれくらいのインパクトがあった。
 
 試合ではこの日、計102球のストレートを投じたが、そのうち35球が150キロ以上をマークしている。そのストレートがただ速いだけではないというのが佐々木の凄さである。左足を高く上げてもまったく上半身がぶれず、踏み出した左足にしっかり体重が乗り、投球のスムースな流れを妨げるような無駄な動きが見られないのだ。もし2年夏の時点でプロ入りしたとしても、ドラフト1位で複数球団が競合したことは間違いないだろう。

 初見のインパクトが強いと、見る機会を重ねるごとに欠点が気になってくるものだが、佐々木に関してはそれも当てはまらなかった。最終学年では3月に行われた作新学院との練習試合、160キロをマークした夏の盛岡三高戦、8月の高校ジャパン壮行試合と3度佐々木のピッチングを見る機会があったが、常に初めて見るような新鮮な衝撃を与えてくれた。おそらく野球をまったく知らない人が佐々木のピッチングを見てもそのフォームの美しさやボールの凄さは十分に伝わるはずだ。本当に凄い存在というのはこのような選手のことを言うのだろう。
 

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