プロ野球

【2010年代通信簿:DeNA】大学即戦力投手を指名するドラフト戦略が成功して暗黒時代から脱出

城ノ井道人

2020.06.06

山崎をはじめドラフト1位で指名した大学生投手が例外なく主力へ成長した。写真:朝日新聞社

 2020年、新たな年代が幕を開ける。ここで改めて、各チームの過去10年間の戦績を通信簿形式で評価してみたい(通信簿は「よくできました」「まずまずです」「可もなし不可もなし」「がんばりましょう」の4段階)。今回はDeNA。今や球界屈指の人気球団となったベイスターズだが、10年前はどん底状態にいた。

■2010年代通算成績
614勝779敗42分(勝率.441)/セ・リーグ6位(12球団12位)
日本一:0回 リーグ優勝:0回 CS進出3回

通信簿:がんばりましょう

 親会社の経営努力によってチームはこれほどまでに変わるものなのか。ベイスターズの10年前と今を比較すると、そう思わずにはいられない。02年から10年続いたTBS傘下時代は内川聖一、村田修一ら素晴らしい選手を輩出しながら何と8度の最下位と低迷。10年オフにFAでチームを去った内川の「(横浜を)出ていく喜び」というコメントがインターネットでネタとして定着するほど"残念"な球団になってしまっていた。
 
 11年オフにDeNAがチームを買収。前向きで明るい性格で知られる中畑清新監督を迎え、ユニフォームや球団旗、マスコットも一新してイメージチェンジを図り、14年にはキューバの至宝ユリエスキ・グリエルを獲得して球界を驚かせたが、4年間で最下位と5位が2度ずつと、結果に結びつかなかった。

 一方、筒香嘉智を我慢強く起用し、山崎康晃を1年目の開幕から抑えに抜擢するなど、これはと見込んだ選手を育て上げた功績は大きかった。中畑監督の明るいキャラクターと球団の営業努力により、横浜スタジアムの観客動員も徐々に増え、低迷中ではあっても以前の暗黒球団のイメージは薄れつつあった。

 そんな中で就任したアレックス・ラミレス新監督の下、チームはさらなるレベルアップを果たした。中畑前監督と同様、明るい性格とパフォーマンスが持ち味のラミレス監督は、采配面ではデータを重視する一方、インタビューなどでは一歩下がって選手を主役にしようという立場をとった。