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プロ野球

【12球団“縁の下の力持ち”:中日】打撃で、守備で、人柄で。堂上直倫の存在感は年々高まり続けている

ロバートさん

2020.06.09

ドラフト時に評価されていたそのバッティングと守備の多様性で、堂上の存在感は着実に増している。写真:朝日新聞社

ドラフト時に評価されていたそのバッティングと守備の多様性で、堂上の存在感は着実に増している。写真:朝日新聞社

 チームを支えるのは、何もスター選手だけではない。絶対的なレギュラーでなくとも、率先してベンチを盛り上げたり、どんな役割もこなす選手もまた、必要不可欠な存在だ。19日に開幕するプロ野球。異例のシーズンだからこそ、より輝きを増しそうな「縁の下の力持ち」を紹介しよう。

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 プロ13年目の昨シーズン、堂上直倫は「5番・遊撃」で自身初の開幕スタメンの座を射止めるも、スタメン出場はわずか42試合にとどまった。シーズンを通して一軍に帯同し続けたとはいえ、主な役割は代打と守備固め。堂上の現在の立ち位置が、“世代No.1野手”と騒がれた入団時の将来像と大きく異なるのは、正直否めない。

 ただそれでも、彼がチームに必要不可欠な存在であることは、中日ファンなら疑う余地などないはずだ。堂上がいかに重要な選手であるかを、昨季の成績とともに振り返ってみよう。

 慢性的な得点力不足にあえぐチームにとって、貴重だったのはその長打力だ。昨季は217打席ながら、キャリアハイとなる12本塁打をマークした。打率こそ.212と確実性に欠けたとはいえ、ストレートに狙いを定めて強いフライを量産し、純粋な長打力を表す指標ISO (長打率-打率)ではチームトップの.233。これは、あの鈴木誠也(広島/.230)を上回る数字だったのだから、驚く他ない。

 レギュラーを争った京田陽太や阿部寿樹はともにゴロ打球が多いアベレージタイプなだけに、長打力に優れるフライヒッター・堂上の存在は、相手投手に合わせた効果的な打線を組む上で、欠かせない選択肢だったはずだ。
 
 内野全ポジションをリーグ平均以上の水準で守れる“本物”のユーティリティプレーヤーである点も、希少価値が高い。中日の内野陣はいずれもゴールデン・グラブ級の名手揃いとはいえ、編成上、堂上を欠くと実績に乏しい若手内野手ばかりとなり、優勝争いをするにあたっては、選手層の薄さは否定できない。特に開幕延期の影響で11月まで連戦が続く今季は、一人で内野全ポジションをカバーできる堂上の存在感はより増すことだろう。

 最後に、頼れるベテランとして若手選手に好影響を与えられる点も見逃せない。中日O Bの森野雅彦氏によると、堂上は人柄の良い性格で誰からも慕われ、後輩には必要に応じて的確なアドバイスを与えているそうだ。春季キャンプでは、黄金ルーキー・石川昂弥に熱心に守備のアドバイスを送ったことも話題となった。

 好成績を残した昨オフには、改めて18年に取得したFA権の行使が噂された。FA権行使なら複数球団が手を挙げると予想されたが、実は18年オフにすでに21年までの3年契約を結んでいたことが判明。二遊間を守る選手としては、出場機会を求め移籍するなら、年齢的にもこれが最後のチャンスだっただろう。

 事実上の「生涯中日」を選択した竜のプリンスには、現役中もそして引退後も、「縁の下の力持ち」として末長くドラゴンズを支えてほしい。

文●ロバートさん (@robertsan_CD)

【著者プロフィール】
1988年生まれ。Twitterにて中日ドラゴンズの戦力分析・考察を行う中日ファン。中日新聞プラスにて「データで考える中日ドラゴンズ」を連載中。

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