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プロ野球

悪い意味での“らしさ”を露呈して7失点KO。西武・今井達也の覚醒のカギとは?

中島大輔

2020.06.25

ブレイク候補に挙げられていた今井の緒戦は、悪い部分が目立って7失点の敗戦投手に。写真:田口有史

ブレイク候補に挙げられていた今井の緒戦は、悪い部分が目立って7失点の敗戦投手に。写真:田口有史

 高卒4年目の「覚醒」を期待されて本拠地・メットライフドームのマウンドに上がった今井達也(西武)にとって、今季初登板はあまりにも残念な投球内容に終わった。

 前日にソフトバンクとの6連戦初戦を打線爆発でとり、連勝を期した6月24日の第2戦。今井は6回途中までに104球を投げて被安打12、7失点。2点リードで迎えたこの回に逆転3ランを許し、敗戦投手になった。

「6回のホームランはボール球でも良かった場面。低め低めという意識で投げなくてはなりませんでした」

 今季初登板の初回、上林誠知の3ランなどでいきなり4失点を喫した。150キロ超のストレートで押したが、力みを抑えきれずにことごとくシュート回転していた。
  
 嫌な形で立ち上がると、序盤から“重いイニング”が続く。見方が3点を返してくれた直後の2回、木村文紀の走塁ミスでチャンスを逸した直後の3回ともに何とか無失点で凌いだものの、立ち直る兆しはまるで見えなかった。

「ここまではちょっと今井らしさが見えていない。バッターに向かっていってほしいです」。3回終了時点で西口文也投手コーチがこう談話を出したように、今井“らしさ”とは腕を思い切り振って打者に強気で対峙することだ。

 開幕前の練習試合ではそうした姿勢と追い求める投球メカニクスが合致し、150キロオーバーの速球を連発して「ダルビッシュ有のようだ」とファンを魅了した。2016年夏の甲子園優勝投手はついに覚醒するのか――。周囲がそう期待したくなるほど、えげつない速球をガンガン投げ込んでいた。
 
 だが、今季初先発で顔を覗かせたのは、悪い意味での今井“らしさ”だった。力んで体が横ぶりになり、速球がシュート回転し、甘く入った変化球を痛打される。特にランナーを出すとこうした傾向が顕著になるのは、本人も自覚している課題だった。

 味方打線が6対4と逆転し、5回までに87球を投げて勝利投手の権利を得て迎えた6回。首脳陣は本調子でない今井を当然のように続投させた。しかし1死から甲斐拓也、栗原陵矢に連打を許して一、二塁のピンチを作ると、前年の対戦成績で10打数5安打と分の悪い今宮健太を迎える。1ストライクからの2球目に投じたカーブが真ん中高めに甘く入り、レフトスタンドに逆転3ランを叩き込まれた。

 さらに、首脳陣をガッカリさせたのがこの後だ。辻発彦監督は大きな期待を寄せる今井を続投させたが、2死からバレンティンにレフト線への二塁打を打たれてKO。6回を投げ切ることができず、マウンドを後にしたのだった。今井はこの回途中の降板を含め、首脳陣の期待に応えられなかったことをどう受け止めているだろうか。

「まずは立ち上がりですね……。練習試合や紅白戦でやってきたことを出すことができませんでした。気持ちの面など反省点が残ります」

 快速球や打者の手元で落ちるチェンジアップなど、能力的にはプロでもトップクラスの球を投げているのは間違いない。しかし、自分の気持ちをうまく操れず、体が横ぶりになってボールがシュート回転するから思うように制球できない。去年までの課題と同じ過ちを、今季初戦で繰り返してしまった。

「次回以降、今日の反省を活かしていかなくてはなりません」

 試合で出た課題を分析し、試行錯誤できることも今井の持ち味の一つだ。あまりにも悔しい今季初登板を、次戦までにどう修正していけるか。

 3か月遅れで迎えた今季はまだ始まったばかり。「覚醒」を待たれる男の次戦以降に期待したい。

取材・文●中島大輔

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