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【2020MLB注目のスターたち】マイク・トラウト&ムーキー・ベッツ――走攻守すべてを備えた「至高にして究極」の2人

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2020.07.19

MLBを代表する5ツール・プレイヤーのトラウト(左)とベッツ(右)。トラウトは14、16、19年に、ベッツは18年にMVPを獲得している。(C)Getty Images

 端的に言ってしまえば、マイク・トラウト(エンジェルス)とムーキー・ベッツ(ドジャース)は現在のMLBが誇る最高のプレーヤーである。打って走って守るというベースボールの根幹要素を、他の誰よりも高いレベルで兼備しているのがこの2人だからだ。かつてのウィリー・メイズや肉体改造前のバリー・ボンズがそうだったように、ベースボールというスポーツそのものが、トラウトやベッツのような選手を〝理想形〞として設計されたと言っても過言ではないだろう。

 トラウトはフルシーズン1年目の2012年に新人王受賞&MVP投票2位と華々しくスターダムへ駆け上った。主要タイトル獲得は12年の盗塁王と14年の打点王だけだが、10年代に入って急速に浸透した新型指標WARでは毎年のようにリーグ最高を記録し、昨シーズンを含めてMVPをすでに3度獲得している。総合的な勝利貢献度を示すWARはまさにトラウトのためにある指標と言っても良く、最近になって〝WARマシーン〞というニックネームがついた。
 
 一方、14年にレッドソックスでメジャーデビューを果たしたベッツは、16年から4年連続でゴールドグラブを獲得し、その間シルバースラッガーも3度受賞。18年には首位打者とMVPを獲得し、ワールドシリーズ制覇の原動力となった。今年2月のトレードでベッツがドジャースに移籍したことで、2人は同じLAのフランチャイズでプレーすることになった。

 どちらも走攻守を兼備するという点では同じながら、プレースタイルは対照的と言ってもいいほど違う。トラウトは188センチ、106キロとメジャーリーガーとしては特別大柄なわけではないが、首の太さとがっちりした上半身は、まるでアメリカン・フットボールのラインバッカーのよう。それでいてスウィングには無駄な力みがまったくなく、シンプルに振り抜いた打球は、古くからの常套句を使うなら「ピンポン玉のように」飛んでいく。加えて、体格からは意外なほどのスピードでフィールドを縦横無尽に駆け回る。このしなやかさがトラウトの特徴と言っていいかもしれない。

 175センチ、81キロと一般のアメリカ人男性と比べてもかなり小柄なベッツは、これまた使い古されたフレーズで言うなら「全身がバネのような」という表現がしっくりくる。類稀な身体能力を生かしてライトの守備では広大なエリアをカバーし、走塁能力も非常に優秀。走攻守全体のバランスではトラウトを凌駕している。
 
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走攻守だけでなく、人柄も完璧