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プロ野球

「令和の名勝負」誕生か?――息を呑むほど見応えがあった山本由伸と柳田悠岐の対決

藤原彬

2020.07.20

19日の山本と柳田の対決は、お互いが持てるものすべてをぶつけ合うまさに名勝負だった。写真:田口有史、徳原隆元

19日の山本と柳田の対決は、お互いが持てるものすべてをぶつけ合うまさに名勝負だった。写真:田口有史、徳原隆元

「これぞプロ野球」。思わずそう言いたくなるほどの名勝負。

 球界を代表する好投手と強打者の対決が、チームの勝敗を決定づけた。

 オリックス対ソフトバンクの同一カード6連戦。1勝4敗と負け越しが決まっているオリックスは、7月19日の最終戦に山本由伸を先発のマウンドへ送った。12日の日本ハム戦で今季リーグ一番乗りの完投を果たしながら「疲れはなかった」、自己最多の13奪三振にも「いつもどおり投げただけ」とさらりと語った21歳。試合開始時点の防御率1.82はリーグベストだった。

 迎え撃つソフトバンク打線は、3番に座る柳田悠岐が前日に推定150mの先制弾を放つなど、リーグ2位の9本塁打。相手バッテリーからの警戒は最大レベルで、前日までのカード5試合は9四球を記録していた。

 それまでの直接対決は通算9打数3安打で、長打は三塁打が1本、3三振という内容だった2人が真っ向からぶつかり合った。
 
 今季の初対戦は初回、2死走者なしの場面で訪れた。山本は低めにカーブ、フォーク、カットボール、シュートとあらゆる変化球を集め、高めへのストレートも交えながら柳田に勝負を挑む。7球目、弧を描くカーブでタイミングを外された柳田は、鳴り物の応援がない京セラドームに驚嘆の声を響かせながら空振り三振を喫した。

 試合後に「一番いいバッターなので、あのぐらいボール球を使ってもしょうがない」と語ったように、第1打席からあらゆる手段を駆使した山本にまず軍配が上がる。

 その後も山本は淡々とアウトを積み重ね、相手打者を憮然とした表情にさせながら、自身は涼しい顔でベンチに戻る…といった光景が繰り返される。4回1死からの柳田との2度目の対決は、5球ともすべて変化球(スライダー、シュート、カーブ、フォーク)で攻め平凡な一塁ゴロに打ち取る。6回まで許した走者は1人だけ、9奪三振と強力打線を圧倒する内容だった。
 

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